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本作は、アナログ・メディアが持つ「不完全さ」と「死」をテーマにしたアナログ・エレジーです。68 BPMというゆったりとしたテンポは、意図的なワウ・フラッター(ピッチの揺れ)によって常に不安定に漂い、まるで今にも途切れてしまいそうな記憶の断片を繋ぎ止めているかのようです。
特筆すべきは、楽曲の進行に合わせて物理的に音質が劣化していく「プログレッシブ・デグラデーション」の手法です。最初はクリアに響いていたウーリッツァーとメゾソプラノの歌声が、1分、2分と経過するごとにヒスノイズに埋もれ、最後には判別不能なほどに歪んでいきます。デジタルによる完璧な保存を拒み、「消えていくことこそが、そこに存在した証である」と歌い上げる本作は、技術への深い慈しみと哀悼を込めた、至高のポスト・インダストリアル・ララバイです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。