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組曲「四万十川」作曲にあたって
私の母の実家が四万十川の下流近くの土佐清水市下之加江にあり、子どもの頃に何度か見た程度でしたが面白い名前なのでずっと記憶の片隅に残っていました。 1986年に高知市ではじめてのライブをやった時に従兄弟から四万十川の曲を作ることをすすめられ、資料を送っていただきました。日本国内はもとより世界中で自然破壊が進んでいる今日、自然の川が残っていることに興味を惹かれ、それ以来ぜひ四万十川をテーマに組曲の作曲をしたいと思っていました。
1991年1月もう無いと思っていた大きな戦争、湾岸戦争によって短期間に世界的な規模の自然破壊、人殺しが行われ、しかも平和憲法を持った私たちの国も参加。じっとしていられない気持になりました。私の音楽で一人でも多くの人に自然、平和の事を考えていただくきっかけになれば、と願っています。
1991年2月10日、11日に20年ぶりに四万十川を訪れ、思っていた以上に汚染されていることに驚きました。とくに印象に残ったのは砂利採取の光景です。良質の砂利が取れるため、あちこちで行われ川の生態系に多くの変化をもたらしているそうです。しかし、そこに住む人々にとっては大きな収入源の一つになっている事を思うと改めて自然保護の難しさを感じています。
2021年4月 弦楽四重奏にアレンジしました。
河野康弘
1953年11月13日生まれ 奈良県生駒市出身。高校卒業後ピアノを始める。21歳で矢沢永吉バンドのキーボードとしてプロデビュー。中村雅俊、芹洋子の伴奏をつとめた後、本来やりたかったジャズピアニストとして東京近郊のライブハウスで演奏。'80年台はアン・リチャーズ(Vo)、リチャード・デイビス(B)他内外の一流ミュージシャンとのセッションなどで全国で活動。'91年湾岸戦争をきっかけに母の故郷を流れる四万十川を題材に組曲「四万十川」全10曲を作曲し平和と環境をテーマに活動をはじめる。'94年、ベルギー王国で開かれたブリュッセル・ピアノフェスティバル参加を初めとして南アフリカ共和国、イスラエル・パレスチナ自治区、中国・内モンゴル、タイ王国、ベトナム、など世界へ活動を広げる。 現在「ジャズ」というジャンルにとらわれず独自の音楽を開拓し「ダイナミックなプレイ」と「素朴な語り」、スタンダードから童謡までジャンル・年齢を越えて、音楽の楽しさすばらしさを感じてもらうコンサートを展開中。 2012年2月、福島第一原発事故の放射能から避難のため東京から京都に拠点を移し核の無い世界を目指して活動を続ける。