Lyric

今、夢果てて夏きたる

今胸満ちて君思ふ

まだ愛などと囀るこの口の

花咲く春の名残詩

あぁ、何もかも移りのみ行く

この世の常の中においても

この花だけは、昔のままで

あなたの春を思い起こす

天ぎる雪と見紛うほどに

降るは桜の花と雨粒

手がふれる程近しい距離で

ほろりほろりと花酔いしれた

また夢満ちて春来る

また逢いに行く、川を越え

恋しいなどと宣うその口を

塞いだ柔らかな口付けに

この刹那だけに鮮やかな

一夜の夢をみる

寂しいけれど余は続く

惜しいけれど春も暮れる

ふれた手を強く握り締め

いずれは此処でまた逢いましょうね

これにて花の舞も幕引きだ

今、手を離し、叫ぶ

さあ、行けと

まだ青かれと願う程

遠のく景色、乱れ雲

まだ愛などと求むるこの胸を

閉ざして、揺らして、時を待つ

あぁ夢果てて夏来たれ

また胸満ちて君思ふ

ただ愛などと囀るこの心が映す

遠き春の名残詩

また夢満ちて春来たれ

また逢いに行く、山を越え

恋しいなどと宣うその瞳を

包んだありし日の旅人に