グータッチのジャケット写真

歌詞

グータッチ

ジュルノ

…エイト

ナイン

テン

天井のライトが まぶしくて

レフェリーの声だけ 聞いてた

立てた。たぶん。でも 立たなかった

それが おれの 最後の試合

ジムの看板は 自分で外した

グローブは 燃えないゴミの日に

こぶしは ポケットの奥で

もう 誰も 倒さない

知り合いに頼まれて 握ったハンドル

支援学校の 校門に 午後三時

車いすごと 乗せる その子は

言葉はない 動くのは 右手だけ

乗るたび その右手を こっちへ 上げる

「それ、あいさつなんです」と 先生

こつん と

きみのこぶしが おれのこぶしに

毎日 ひとつ

誰も倒さなくなった この手に

毎日 ひとつだけ 当たるもの

こつん と

それで エンジンを かける

その右手を 持ち上げるのに

きみは 体の全部を 使う

十秒 かかる日もある

おれは 待つようになった

学校が休みの 土曜は 九時半

きみの家の前で エンジンを切って

右手を 出して 待つ

十年 考えもせずに 上げてた グローブ

上げるって こういうことだったのか

ある土曜 きみは 眠ったままで

右手は ひざの上

おれは はじめて 自分の方から

こぶしを きみの手に 近づけた

こつん

指が すこし 動いた

こつん と

おれのこぶしが きみのこぶしに

毎日 ひとつ

誰も倒さなくなった この手に

毎日 ひとつだけ 当たるもの

こつん と

それで エンジンを かける

レフェリーの 十秒のあいだ

おれは 立てたのに 立たなかった

きみは 毎日 十秒かけて

その右手を 持ち上げる

あいさつだと 思ってた

毎日 おれは 言われてたんだ

「立て」って

こつん と

ふたつのこぶしが 西日の中に

毎日 ひとつ

人を倒すために 鍛えた この手が

いちばん強いやつに 毎日 会ってる

こぶしを上げるのは 勝ったやつだと 思ってた

今日が 来たやつは みんな 上げていいんだ

こつん と

それで エンジンが かかる

おはよう

…ワン

こつん

  • 作詞者

    ジュルノ

  • 作曲者

    ジュルノ

  • プロデューサー

    ジュルノ

  • その他の楽器

    ジュルノ

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