歌詞

ちくたくと過ぎゆく時間

宙に浮くような宿題に

「ねえ先生、算数全部

スマホでやっちゃダメですか？」

はらはらと花びらひとつ

真っ白なあなたの頬に

「ねぇ先生、」

勿体ぶって

やっぱり内緒　教えない

期待の火種は4月の温度

撒かれて心に根を張り育つ

鼓動は足音をとうに飛びこし

挟んだ栞の先

ねぇ先　私バカだから

足して引いて掛けて割ってとかさ

きっとわからないし

方程式なんて嵌りたくないの

とろい足ですっ転んじゃって

貼ってもらった絆創膏

クレゾールの匂いがした

寝ても覚めない幻想振動症候群

頭の熱は迷走　喧騒　熱中症

ちくたくと暮れゆく時間

上の空　そんな週末だ

ねぇ先生、あなたの夢に

私の姿はないですか

はらはらと花びら朽ちて

落ちるのは案外早いもの

「ねぇ先生、」

ためらわないで

あなたの内緒　教えてよ

望みのつぼみは5月の温度

結ばれ子供のわたしは惑う

期待は次第次第に芽を出し

かすかに潜んだ毒

ねぇ先生　私バカだけど

足して引いて掛けて割ってとかさ

やっぱわかっちゃうし

教科書だっていくらか正しいの

はやる気持ち前のめっちゃった

なんていびつな前頭葉

褪せる春の匂いがした

焦がれる心はとうに咲いても

微笑むあなたはどこにもいない

ねぇ先生、

なんでそんな酷いことをするの

ねぇ先生　どんなバカだって

足して引いて掛けて割ってとかさ

知ってしまうのでしょう

あまりに陳腐な起承転結

引き出しのラブレターは

ゴミ箱にさよなら

大きな手の隙間から

零れる光も朝が来て見えない

ねぇ先生　確かに

あなたは私の陽だまりでした