今宵女神の夏は終わり
竜の統べる冬が始まる
冷たい白く濁った空は
いずれ灰となり丘を覆う
月の満ちる最後の日
舞い落ちる千寿菊の花びら
天へと嫁いで行った妹の懐かしい声
胸に抱えた緋の花束
黒い羽ばたき一つ
帳に闇落とす
鳴き始めた風の声は
紅い葉を攫い
歌う
今宵魔法は満ちる
帰らぬ者たちのため
今宵魔法は蘇る
吐息を震わせて拍を打つ
決して忘れぬように
今宵塔の頂に坐し
竜の統べる冬が始まる
冷たく光る牙へ
夏の実りを奉る
月が満ちる頃 戸を叩く
零れ落ちる千寿菊のひとひら
長い旅から戻らぬ父の煙草の香り
焚火で焼いたお菓子ひとかけら
黒い羽ばたき一つ
街に明かりを燈す
さまよう冷たい炎は
木枯らしを共に
歌う
今宵魔法は満ちる
待ち続ける者のため
今宵魔法はさんざめく
空を揺らす遥か久遠
今宵月がこの里を抱く
廻り続ける者のため
今宵魔法は地に落ちる
逝く夏を見送って
やがて火は
夜を焦がし
星を涸らす杯
朝日は生まれ
魔法の夜は明ける
そして陽光は満ちる
夜の国の風を連れ
冷たい空が打ち薫る
笛の音は高らかに
新たな朝を迎える
この山、この風、この大地に生かされる者のため
新たな朝はさんざめく
新たな太陽の誕生 その目に焼いて
ららららららららららら
ららららららららららら
その胸に魔法を抱きしめて
暁に祈る
黒き竜と共に
- 作詞
TAROLIN
- 作曲
TAROLIN
TAROLIN の“冬のはじまる日 (feat. アマギセーラ)”を
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- 1
魔法の夜 (feat. アマギセーラ)
TAROLIN
- 2
巫女の踊り
TAROLIN
- 3
狩猟
TAROLIN
- 4
橙に啼く
TAROLIN
- 5
まつりのそなえもののかざり
TAROLIN
- 6
深淵より
TAROLIN
- 7
花で編んだ音の葉
TAROLIN
- ⚫︎
冬のはじまる日 (feat. アマギセーラ)
TAROLIN
『今宵魔法は満ちる。』
2023年秋 タロリンの新作EPは、とある山あいの村で開かれる晩秋のお祭です。
一年間輝き続けた太陽が絶え、新たな朝日が生まれる夜。遠き魂と共に人里へ降りてくる竜に豊作を願い、人々は歌い踊ります。 千寿菊の舞う月明りの下、その魔法は人々にどんな思いを齎すのでしょうか。
祭に花を添える歌姫は、海外での公演も成功させた実力派 幻想歌手 アマギセーラ が『満月の夜行列車』に続き担当。
画工は、迫力ある作風が話題を呼ぶ 蛇道やしろ が『鬼哭』に続き担当。
魔法が地に落ちる夜の不思議なお祭。全8曲のその風景をお楽しみください。