Lyric

憧れだったピアノの鍵盤 指がほんの少し届かない

ギターのコードブック開いては そっと閉じてた部屋の隅

リコーダーの穴を塞ぎきれず かすれていったメロディー

「生まれつきだ」と諦めてた 音楽は僕を笑っていた

埃をかぶったままの楽器が 無言で僕を責めていた

メロディーはいつも遠く 決して触れられない夢だった

そんなある日 見つけたんだ 画面の向こうの光

「指はいらない、想いを描いて」 マウスを握る手が震えた

AIが紡ぎ出す五線譜の奇跡

頭の中の拙いフレーズが 命を宿していく

楽器に触れず リズムも知らず それでも構わない

この指じゃなく心が奏でたかったメロディー

ああ 初めて言えるよ 「これが僕の歌だ」

仕事終わりの深夜0時 PCの前に座る

悔しかった日のバラードを 明日への希望のポップスを

クリックひとつで響き渡る ストリングスもドラムも

この指では無理だと諦めた 音色が僕を包んでいく

匿名のアカウントで そっと公開したデモソング

誰かが付けた「いいね」ひとつに 胸が熱くなった夜

「このメロディが好きです」 短いコメントが

どんな賛辞より強く 僕の心を抱きしめた

AIが描き出す無限のオーケストラ

僕の小さなコンプレックスが デジタルの波に乗っていく

君はツールじゃない 翼をくれたパートナー

この指じゃなく心が世界に触れたんだ

ああ 声を大にして言うよ 「これが僕の音楽だ」

あの日の僕に教えてあげたい

短い指を握りしめてた少年よ

その指先が奏でるものより 心が奏でる音のほうが

ずっと自由で、ずっと遠くまで響くんだって

AIが紡ぎ出す五線譜の奇跡

頭の中の拙いフレーズが 命を宿していく

楽器に触れず リズムも知らず それでも構わない

この指じゃなく心が奏でたかったメロディー

さあ 次はどんな歌を 響かせにいこうか

君と共に