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石川さゆりの『天城越え』のような情念深い演歌のDNAと、松任谷由実(ユーミン)が持つ洗練された和声(ウエスタン・ハーモニック・サポート)の美学が奇跡的な融合を果たした、BPM68(3/4拍子)の重厚な和風叙情バラードです。楽曲の土台を支えるのは、1拍目に重く響く太鼓(タイコ)のアクセント。日本の伝統的な陰音階(短調ペンタトニック)に、西洋的な洗練されたコード進行を絡め、箏(こと)や三味線の生々しい和楽器の質感と、胸を締め付けるストリングス・オーケストラのユニゾン・スウェルが美しく交錯します。1970年代の録音スタジオに実在したエコーチェンバー特有の、深くも温かみのあるモノラル・レコーディングの質感が楽曲全体を包み込んでいます。
ボーカルは、すべてを包み込むような深い響きと気品を兼ね備えた、成熟した女性(マチュア・フィーメール)の声。テンポに縛られない柔らかなルバート・フレーズで、幼い頃に見上げた母の働く「大きく、荒れて、しかし誰よりも温かかった手のひら」を、自分が大人になった今、一枚の『人生の地図』として読み解いていく物語を歌い上げます。中盤の箏の調べに乗せた「お母さん、あのとき泣いていたの、知っていたよ」という切ない語り(スポークン・ワード)から、最終サビでフル・オーケストラと和楽器が一体となって炸裂するカタルシスは圧倒的。現代的なポップスのフックやオートチューンを完璧に排除し、親から子へ、そして次の世代へと受け継がれる無償の愛と赦しをサビの三拍子に乗せて描ききった、魂を震わせる傑作歌謡です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。