もういいかい?
もういいよ
まだだよ
もういいかい?
もういいよ
まだだよ
僕は待ち続けている
指折り数える今日もまた
僕はここから
動くことも出来ず
姿形のないあなたの
合図だけを待ち続けている
何度問いかけても返答はなく
虚しさと共に暗闇に飲まれる
お願いだから返事をしてくれ
秒針は無情にも針を刻む
もういいかい?
もういいよ
まだだよ
もういいかい?
もういいよ
まだだよ
この世界に逃げ場所なんて
無いって知ってから
この暗い部屋に僕は潜んでいる
誰にも見つけられない此処は
暗くて寒くて狭い
でも何故だか寂しくはなかった
孤独が敷き詰まり僕を包み込む
それが何故だか暖かく感じた
出口のない 窓も
隙間一つないこの箱の中では
何一つすり抜けていくことはない
もう何も失わないんだ
これでいい これでいいんだ
「もういいかい」
思わず目を開けた
真っ暗な壁を通り抜け
微かに聞こえた君の声が響き渡る
何度も何度も反響している
君の微かな温もりが 香りが 記憶が
何度も何度も鮮明に頭を殴る
途端に押し寄せる孤独
寒くて暗くて今すぐに
ここを飛び出したい
そんな衝動に駆られた
失ってもいい
何も残らなくていいから
もう一度だけ もう一度だけ
早く僕のことを
見つけてくれないか
「もういいよ」
と僕は叫んだ
音は止んだ
何も聞こえなくなった
吐き出した声すらも
闇に吸い込まれた
「もういいんだ」
溢れた涙がこの箱を敷き詰める
もう時期に息すらできなくなる
最後の最後に誰かと
触れ合った気がした
それだけで充分だったんだ
もうこれでよかったんだ
ガラスが割れるような
音が耳をつんざいた
途端に視界を刺した
白で何も見えなくなる
崩れ落ちた箱の断片を
掻き分ける影
「見つけた」
もういいかい?
もういいよ
まだだよ
もういいかい?
もういいよ
まだだよ
月が攫われて
星の消えた日
あれからどれだけ
待ち続けただろうか
何も変わらない現状は
僕が望んだものだった
のかもしれない
強い光は大きな影を作る
その影があまりにも怖くて
その光があまりにも眩しいから
いっそ光のない
真っ暗な世界になれば
いいって思ってた
思ってたのに
「もういいよ」
広がる闇が吐き出した
空気が揺れた 思い出した
数えた手が止まる
僕は駆け出した
こんなことならもっと早く
動き出せばよかった
もう手遅れかもしれない
もう無理かもしれない
それでも
闇を掻き分け孤独を覗く
探せど探せど見つからない
どれだけ時間が経っても
夜は明けない
早く出てこいよ
もういいから
もういいんだよ
光に誘われて
奈落の闇に堕ちてもいい
死にたくなるほどに
傷ついてもいい
もういいから
もういいんだよ
「もういいよ」
暗雲の隙間から刺した
微かな月明かりが
君の影を映した
「見つけた」
僕は手を伸ばした
「もう帰ろう」
月明かりが照らす
二つの影を
僕らは幾望と呼んだ
- Lyricist
nisemono
- Composer
nisemono
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