アトピーのうたのジャケット写真

歌詞

犬の川

スズキ サトシ

犬を飼っていた

立派な毛並みの秋田犬

シロって名前だった

あんまり顔は覚えてないけど

ある日仔犬をたくさん産んだ

可愛かったとは思うけど

これもよく覚えていない

仔犬をたくさん飼育するのは無理だ

おばあちゃんはそう思ったらしい

仔犬を連れておばあちゃんは歩いた

僕も着いて行った

部落外れに川がある

小高い橋から眺めれば

穏やかな水は茶色い穂によく似合う

おばあちゃんはスーパーの袋に仔犬を詰め

川へ投げ捨てこう言った

「誰かが拾って飼ってくれる」

あの時僕の優しさが

死んだ気がするんだ

仔犬は一匹だけ残してた

名前はチロって言うんだ

雑種で小さい犬だけど

あんまり顔は覚えていない

一匹だけの子供は

さぞかし可愛かったろう

纏わりついた紐を揺らして

仲良く遊んでいたんだな

その日は突然やってきて

シロの紐に絡まって

首吊りでチロが息絶えていた

なんで僕もその光景を見ていたのかな

川に流れた仔犬たちが一緒に行こうと

チロも連れてった

みんな仲良く一緒が幸せだろう

シロは子供を一切無くし

小学生の頃に年老いて死んだ

あの時僕の優しさが

死んだのかもしれない

袋の中で泣き叫ぶ仔犬

袋の中で泣き叫ぶ仔犬

今も聞こえる

あの声が

『助けて』と叫ぶ

あの声が

  • 作曲

    スズキサトシ

  • 作詞

    スズキサトシ

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スズキサトシ2ndアルバム『アトピーのうた』、制作期間9か月を経てついにリリースされた。

大半の楽曲が暗く陰鬱な雰囲気を纏っており、異様なほど厭世的な内容となっている。

さらに歌詞に注意を向けると「死・病気・火葬・仏壇」と言った言葉が散見され、前作のような明るくポップな側面を期待しているリスナーは拍子抜けを食らうかもしれない。

だが本作には以前には持ち得なかった、痛々しさを伴ったスズキサトシという一人の人間の悲痛な叫びが感じられる。

とくに表題曲である『アトピーのうた』は、彼の持病をテーマに据えた内容であり、おそらく世界で初めての「アトピー性皮膚炎」の歌だろう。

郷里の秋田弁を用いたものや、斬新な構成の楽曲も見受けられ、このような音楽的に挑戦する姿勢も存在することからも、本作は音楽家スズキサトシとしての一つの試金石となるのではないだろうか。

真っ暗な夜にこのアルバムに耳をすませば、我々は何か大事なことに気づくかもしれない。

アーティスト情報

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