アトピーのうたのジャケット写真

歌詞

アトピーのうた

スズキ サトシ

死にたくなるくらい痒いって感覚分かるかい?

脳髄に直接指令が溶け出し

全ての感情のスピードをはるかに超越して

指先を自在に操りだすんだ

気持ちの良い朝なんて無くて

毎朝起きたら布団は血まみれ

寝る前に柵に縛った手も取れて

リミッターを外した両手が暴れまわるんだ

記憶にあるのは病院ばかり

炎天下の下を楽しく駆け回ったことよりも

薬を塗りたくって歩いた記憶の方が

よっぽど鮮明さ

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう疲れたろう?

綺麗なシーツでひと眠りしよう

夏休みに引き籠って過ごす気持ちが分かるかい?

子供たちの声は窓の外

一日中ソファーにもたれかかり

何事も無く一日が終わる

愛と希望の青春時代と言うけれど

そんなことは僕に一切関係ない

顔に塗りたくった薬で

誰が見てもピカピカのお化けさ

呪文のように唱えるハウスダスト

アレルギーでかたづけるヤブ医者たらい回し

「たかが皮膚の痒さ」で片づけて

この絶望をちっとも理解しない

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう疲れたろう?

手袋脱いでひと休みしよう

ある日突然自分の皮膚が変貌する気持ちは分かるかい?

知らない間に現れる象の姿を

奇異の目で見られるのは嫌だった

人とは会いたくないんだ

病院代で毎年10万円が消えていく

こんな体じゃ欲しいものは買えない

美味しいご馳走を食べるよりも

薬を切らさないことが大事だから

洗脳は溶けた時に馬鹿らしさに気づくが

かかっている時は人生を揺るがす一大事

ステロイドは本当に麻薬だったのか

今ならその答えを知っている

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう疲れたろう?

食べたいもの食べ一休みしよう

人間じゃない自意識は日に日に増していき

今日も僕を白塗り仮面に変貌させる

だから顔についたてを立てて

誰も近寄って来ないように

自分を守るんだ

みんなが寄ってたかって

僕を押しつぶそうとするから

あなたの夜を知っている

あなたの朝を知っている

あなたの昼を知っている

だから歌うよアトピーのうた

皮膚を気にして丸一日過ごす気持ちが分かるかい?

薬草と呪文の治療を続けても

10年経ってもちっともちっとも

良くなりゃしないんだから

ついには気まで狂い始めて

心療内科に足繁く通う

気持ちの問題で片づけて

医者も薬を出して終わりさ

たかが皮膚の痒さくらいで

不眠と動悸に襲われるなんて

意識のはっきりしない日々が続くなんて

大人たちは認めようとしない

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう止めにしよう

汗を気にせず外に出てみよう

  • 作曲

    スズキサトシ

  • 作詞

    スズキサトシ

アトピーのうたのジャケット写真

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スズキサトシ2ndアルバム『アトピーのうた』、制作期間9か月を経てついにリリースされた。

大半の楽曲が暗く陰鬱な雰囲気を纏っており、異様なほど厭世的な内容となっている。

さらに歌詞に注意を向けると「死・病気・火葬・仏壇」と言った言葉が散見され、前作のような明るくポップな側面を期待しているリスナーは拍子抜けを食らうかもしれない。

だが本作には以前には持ち得なかった、痛々しさを伴ったスズキサトシという一人の人間の悲痛な叫びが感じられる。

とくに表題曲である『アトピーのうた』は、彼の持病をテーマに据えた内容であり、おそらく世界で初めての「アトピー性皮膚炎」の歌だろう。

郷里の秋田弁を用いたものや、斬新な構成の楽曲も見受けられ、このような音楽的に挑戦する姿勢も存在することからも、本作は音楽家スズキサトシとしての一つの試金石となるのではないだろうか。

真っ暗な夜にこのアルバムに耳をすませば、我々は何か大事なことに気づくかもしれない。

アーティスト情報

  • スズキ サトシ

    秋田県出身のソロミュージシャン。多数の楽器を自身で演奏するマルチプレイヤーである他、エンジニアリングまで自身で手掛けるDIYなスタンスで活動を行っている。制作活動に重きを置いて活動しており、20年12月に1stアルバム『季節を透いて見る旧時』・21年10月に2nd『アトピーのうた』をリリース。ポップでキャッチーなロックンロール曲を嚆矢として、近年は実験的要素を含んだ楽曲を発表するなど、音楽的思考に変化が見られつつある。

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