

好きと言って
いまこの瞬間に
でないと立っていられない
言葉が信用できないことは
重々わかっているから
いま会いたいってこの画面に
浮かびあげてくれたら
次の駅で引き返せる
心は先に羽根を広げて
飛び立つ
好きと言って
君の言葉が裏切ったことも
あったけど
好きと言って
この世界は言葉が
支配しているんだから
言ってくれないと
なにも始まらない
いまなにしてるのと訊ねて
会えてない時も生きていて
なにかと忙しいし
それなりに充実している
でもね
好きと言って
今日逢ったら真っ先に
そして指で触れて
吐息でまなざしで絡めて
ささやきでとどめをさされたら
心は羽根を広げて
好きと言って
君の言葉に打ちひしがれた
夜もあった
好きと言って
言葉が残酷なのは
よくわかっている
言ってくれないと
なにも気づかない
長く信じてき約束が
嘘にすり替わったあの朝
はだしで飛び出した
心はどしゃぶりなのに
空はカンカンに照って
足もと蝉の抜け殻
自分だけが取り残されている
みたい
追いかけきた
君の手にはサンダル
バカみたい笑っちゃった
好きと言って
君の言葉に打ちひしがれた
夜もあった
好きと言って
この世界は言葉が
支配しているんだから
好きと言って
言葉が残酷なのは
よくわかっている
言ってくれないと
なにも伝わらない
- 作詞者
玄月
- 作曲者
玄月

玄月 の“好きと言って”を
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- 1
亀が浮かんでいる
玄月
- 2
晴れた日は好きじゃない
玄月
- 3
転倒
玄月
- ⚫︎
好きと言って
玄月
- 5
あのころ信じていた神様
玄月
- 6
じっとしない世界で
玄月
- 7
夏が終わったら働くし
玄月
- 8
幸せのかたち
玄月
- 9
ただの一度も恋愛というものができなかった
玄月
- 10
自由
玄月
- 11
恋詩
玄月
11のオリジナル曲をひとりで録音したアルバムです。
アルバムタイトル曲の「亀が浮かんでいる」は、生まれ育った土地の原風景、自転車が捨てられ亀が浮かんでいた運河がモチーフになっています。
小説であれ音楽であれ、「記憶」を表現する作業において、つねに足手まといになるのは「いきすぎた美化」です。ノスタルジーからは、それらをうまく排除しなければなりません。
アーティスト情報
玄月
玄月プロフィール 芥川賞作家・大阪芸術大学教授。心斎橋「文学バー・リズール」店主。 2021年より音楽活動を開始。2023年、フルアルバム「亀が浮かんでいる」を発表。 2024年7月、ミニアルバム「とおる追いかけろ」をリリース。 2025年4月、シングル「わたしはユリコ」をリリース。
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