

あの子ののろけから
初めて知ったあの人のクセ
そんな一面もあるんだなと
自分に言い聞かせる
いつものように
なにかを守るために
ふられたって泣いてる
あの子の背中をさすりながら
ひどい男だと
自分に言い聞かせる
いつものように
内心 安堵とねたみ
私も泣かされてみたい
こんなふうに
私じゃない人を通してしか
あの人を
感じられずにきました
あの人以上好きな人が
現れることはないし
かといってあの人に
抱かれることはないから
私はただの一度も
恋愛というものができなかった
だれでもよかったし
だれもおなじだったし
こなせばこなすほど
心が軽くなって
どこでも行ける気がして
気がつくと
あの人の前に立っていた
初めてあの人の顔を
まっすぐに見た
対等になれた気がして
一歩近づくと
すっかり変わったね
もっと自分を大切にしないと
あの人は私の影にさえ
触れなかった
私はなにより
自分を大切にしてきて
だからこんなことしてるの
逃げじゃなく立ち向かってるの
私はまだ生きなきゃ
いけないんだから
なにも失ってない
失うものなんてないんだ
なのになにも言えなくて
でも泣きはしなかった
ただひとこと ありがとう
かまってくれ
ありがとう
あの子ののろけから
初めて知ったあの人のクセ
そんな一面もあるんだなと
自分に言い聞かせる
あの人以上好きな人が
現れることはないし
かといってあの人に
抱かれることはないから
私はただの一度も
恋愛というものができなかった
- 作詞者
玄月
- 作曲者
玄月

玄月 の“ただの一度も恋愛というものができなかった”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
亀が浮かんでいる
玄月
- 2
晴れた日は好きじゃない
玄月
- 3
転倒
玄月
- 4
好きと言って
玄月
- 5
あのころ信じていた神様
玄月
- 6
じっとしない世界で
玄月
- 7
夏が終わったら働くし
玄月
- 8
幸せのかたち
玄月
- ⚫︎
ただの一度も恋愛というものができなかった
玄月
- 10
自由
玄月
- 11
恋詩
玄月
11のオリジナル曲をひとりで録音したアルバムです。
アルバムタイトル曲の「亀が浮かんでいる」は、生まれ育った土地の原風景、自転車が捨てられ亀が浮かんでいた運河がモチーフになっています。
小説であれ音楽であれ、「記憶」を表現する作業において、つねに足手まといになるのは「いきすぎた美化」です。ノスタルジーからは、それらをうまく排除しなければなりません。
アーティスト情報
玄月
玄月プロフィール 芥川賞作家・大阪芸術大学教授。心斎橋「文学バー・リズール」店主。 2021年より音楽活動を開始。2023年、フルアルバム「亀が浮かんでいる」を発表。 2024年7月、ミニアルバム「とおる追いかけろ」をリリース。 2025年4月、シングル「わたしはユリコ」をリリース。
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