安堵と同時に多量の血反吐を吐く
針とチューブが彼女を飾り立てる
真っ赤な血溜まりの中には
ひときわ目立つ白銀の針が
だらだらと多量の涎を出しながら
男は不鮮明な言葉で
ただ一つの願いを唱え続ける
「それを早く喰わせろ」と
歯噛みをし唸り声を上げる
飢えた獣と大差ない程にだ
御使に言われた言葉を思い出し
一人粘った笑い声を上げる
針を千本咀嚼すれば許されるのか
なんと現然たる贖罪であるのか
薄く笑う尊顔は雨音の様であり
不安を抱くほどにかき乱される物だった
新月を喰らう煉獄
まだ見ぬ顔を拾い集め
星を見守る 混沌に塗れ
御使が一人 帰依し羽舞う
女の表情は失せ
男は地に転がる
合わせた手は首に
「ほら、できた」
媚びた笑み、浮かぶ
(枯れた大地に横たわる女
太った黒い蠅達が血を舐めている)
皮膚の下に詰め込まれた藁束
身体重く熱が駆け上がる速度
フェノバルビタールが足りぬ身体
胚をかち割り生まれ出る王よ
幸福であることの穢れすらも
幸福であることの恥辱ですらも
幸福であることの恐れすらも
幸福であることの不幸を謳え
下弦に響く脳漿
まだ見ぬ顔が救いとなり
星が瞬く 汚物に塗れ
御使は一人 役目を終える
女の表情は失せ
男は地に転がる
合わせた手は首に
「ほら、できた」
下卑た笑み
忘れぬ
(炎を背負い死に満ちた大地
救いなど無い病の世紀)
- 作詞
Suicide methods
- 作曲
Suicide methods
蠱毒 の“蝿の王”を
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