

蛍の光 閉まる売り場の灯
渋谷の階を 斜めに切る帯
彼が上を指す 昇りの段へ
私の踵は 下りの方へ
手を乗せたゴム 足より少し前
手だけが先に 体を置き去りに
一段上で 背中が遠くなる
同じ速度に なれない踵
くし歯の手前 段が迫り上がる
床から生まれて 平らに消える
乗れば運ばれ 止まれない帯
踵が浮いて また床に戻る
昇りと降り 並んで擦れ違う
段が平らに 消えるのを見てる
彼が振り向く もう半階上
乗るか降りるか 決めかねた爪先
大和の駅の 長い石の段
一段ずつ 足で確かめた
上った段は いつでも戻れた
運ばれる段は 戻れはしない
くし歯を越えて 踵を段に置く
手すりには触れず 体を預けず
運ばれてゆく でも歩みはしない
同じ段で 速さは合わせない
手すりに触れぬ手 宙に浮いたまま
踵だけが 段の縁を確かめ
名前を呼ばぬまま 半階の差
昇ってゆく 名もない斜めの帯
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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斜行のグリッサンド
Akemi
「斜行のグリッサンド」は、関係の速度を誰が決めるのかをためらう一瞬を描いたミディアムテンポのシティポップ。
閉店間際の「蛍の光」、斜めに上る金属の段、足より少し速く動く手すりのゴム、半階上で振り返る背中、そして乗るか降りるか決めかねる爪先――先へ進みたがる相手と、自分の速度を手放したくない心の間で揺れる時間を映し出す。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、相手の前進を否定はしないまま、それでも自分の足で上った段だけが戻れたことを知っている、速度を明け渡さない大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、都会の夜、百貨店の階、進む者と留まる者の温度差を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
くし歯を越えて段に踵を乗せても、手すりには触れず、体を預けない。
運ばれながらも速さだけは合わせない――そんな宙づりのためらいを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



