Cassette Gadget 1983-1984のジャケット写真

歌詞

世界中に失恋

岩下啓亮 Sardine

自惚れた都会に棲む ぼくらに似た恋人たちは

ひとりで夜を過ごすのが怖い 寒い夜を過ごすのがつらい

古ぼけたアパートの階段 屋根を超えて歩いてゆくきみは

もう二度と捕らえられない 時は過ぎてぼくはひとり

覚えてる? 初めての夜に 出会いの夜に きみがいったこと

掴まえてよ 帰りたくないの わたしを あなたは 掴まえてよ

14歳の時のぼくは 22歳の今のぼくを見て

許さないだろう 認めないだろう

時は過ぎて ぼくは変わった

汚れちまった

きみのいない夜を過ごす たくさん在った感情を捨てる

いくらぼくが過去を閉じこめても 思いはいつまでもつきまとってくる

きみの声が聞こえてくる ぼくの知らぬ外国のうただ

そしてそれは帰らない 帰れない時間

悲しすぎて 涙さえもう 流れない

  • 作詞者

    岩下啓亮 Sardine

  • 作曲者

    岩下啓亮 Sardine

  • プロデューサー

    岩下啓亮 Sardine

  • レコーディングエンジニア

    岩下啓亮 Sardine

  • シンセサイザー

    岩下啓亮 Sardine

  • ボーカル

    岩下啓亮 Sardine

  • バックグラウンドボーカル

    岩下啓亮 Sardine

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岩下啓亮 Sardine の“世界中に失恋”を

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私が多重録音を始めたのは1983年、千代田区神田にあったプレイヤーズイン楽器店に臨時雇いで勤め始めてからだ。店長の南山氏の好意で閉店後「楽器の扱い方を覚えるため」自由に使えることになった。その頃に録音した作品を今回のアルバムに収録した。
CD-R等にデータを残していないので、先日TEACのカセットデッキを購入してテープをプレイバックしてみた。ところが経年劣化がひどく、何曲かはデジタル化を断念せざるを得なかった。1983年に楽器店で録音した前半の6曲(『Walking Tempo』と名づけた)はリリースの断念も考えたが、これも記録だと割りきることにした。
後半の6曲は1984年、世田谷区代沢のアパートで録音したものだ。はなやかなシモキタに住んでいたが、誰とも連帯できず、孤独にさいなまれながら音楽をつくり続けていた。その証拠に、テープのラベルには『世界中に失恋』と題されていた。
おそらく多くの人が、この12曲の音源を聞きづらく感じるだろう。歌詞も未熟だし、演奏はミスだらけだし、歌の音程も怪しげだ。私自身あまり心地よくは聞けない。けれども私、岩下啓亮の音楽史を語るにおいて、これは欠かすことのできない資料なのである。

アーティスト情報

  • 岩下啓亮 Sardine

    鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。

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