※ 試聴は反映までに時間がかかる場合があります。
※ 著作権管理事業者等が管理する楽曲は試聴できません。
ありふれたアニメの和風ロックや、過剰にクリーンなJ-POPのスタジオ制作、そしてウエスタンフォークやファンタジー系の壮大なオーケストレーションのクリシェを100%パージ。大正・昭和初期の街頭演説や活動写真の泥臭い熱量に、退廃的でいて極めて知的な『キャバレー・ノワール』の美学を融合させた、BPM96(Dマイナー)の劇的なジャパニーズ・タショウ・三味線ロック(Japanese taisho-era shamisen rock)です。「赤煉瓦を叩く雨、300年路地の奥の石に宿る実存の迷走、文明開化の石油の匂いとあなたの香水、街頭デモと祈りが混ざり合うポゼッション」といった、エキゾチックかつ冷徹な東京の土着性と実存の崩壊を、拡声器フィルターのザラついた質感(female vocal through megaphone distortion filter)と強固なアイロニーで美しく描き出しています。
最大の快楽は、完璧なデジタルグリッドを完全放棄し、人間特有の不揃いなタイム感と不協和音をそのまま音響としてドキュメントした、歪な引き算の音響設計。伴奏なしの完全な孤立状態で冷たく鳴り響く16小節の三味線ソロ(solo shamisen opens cold for 16 bars)から幕を開け、そこへ歓迎されざる客のように歪んだベース(distorted bass guitar enters like an uninvited guest)が乱入。生ドラムは意図的に2拍遅れて合流し、エレキギターは決してクリーンな音を鳴らさず、三味線とギターはチューニングをあえて一致させないまま暴力的に共存(coexist violently)します。大正期の拡声器シミュレーション(high mid frequency peak 2-4kHz)を通したボーカルは、子音にわずかな飽和感を孕み、ヴァースでは感情を極限まで押し殺した平熱の会話調で進みますが、サビ(コーラス)に突入した瞬間、ステレオ幅が左右140%のパノラマへと全開放。大げさに張り上げる(oversings)ことなく、最も残酷な瞬間にこそ静寂と囁きを配置する、計算されたブレス位置と音節の重み(conversational danger)を冷酷に突き刺します。終盤のブリッジでは、街頭演説が最大飽和する過激な引き算を敢行し、最後はスタジオの自動フェードアウトに逃げることなく、楽器が一つずつ蒸発し、最初の剥き出しの三味線だけに戻った瞬間、リミッターがゲートを閉じるように遮断。残響を1ミリも残さずスパッと完全な真空の静寂(abrupt performance exit ending)へと着地する大傑作アート・ミニマリズムです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。