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かつてここまでロマンティックで感動的なファンファーレがあったであろうか。

行き詰まりの夢、霞んでいく過去、未来どころか明日も見えない社会、疲れの取れなくなった身体、とっくに手を離してしまった愛、自分自身にも他人にも期待をしなくなり、ただ徒に過ぎていく無味乾燥の日々。感情もないままにネットニュースを眺め、下を向いて歩いている孤独なマシーン。

もはや自分にやれることは何もないのではないか、書くべきことは何もないのではないだろうか。手にしたお皿の底にはもうスープは残っていないのではないか。

そんな疲弊した甘美なる絶望の中で、彼らはこうのたまうのだ。

「まだ歌うべきことが沢山あったんだ」と。
「枯れた花に嘆くなかれ、種まき水を与えなさい」と。

 TAPE ME WONDERという一塊のバンド、世間的に取るに足らない存在の4人組。聞くところによればイイ歳をしてもう15年以上も続けているらしい。正直言って彼らがどうなろうと私にとっては大した話ではない。冴えない音楽家の行く末など知ったことじゃないのだ。

ただ、この曲を聴いてこう思った。そういう諦めの悪い人間だからこそ成し得る表現は確実にあると。そしてその決意と眼差しの優しさはこの「羽衣」だけで十分過ぎるほどに伝わるものである。

きっと何も変わることはないが、明日は久し振りに早起きをしてみようと思う。
何も期待していないが、明日は少しだけ笑っていようと思うのだ。

アーティスト情報

  • TAPE ME WONDER

    2007年にnoribooooone(aka.PG,pygmy with bitter ends,ex.GQ06)とPe(ex.BRANCO)で結成、その後Dussan(ex.papas milk)、2235(from quadrarium)が加入し現体制になる。都内のライブハウスシーンで瞬く間に頭角を表し、1st AL「NEED YOU」2枚組の名作2nd AL「NEVERTHELESS」を発表し、バンドとしての評価を確固たるものにする。 2021年、中山佳敬氏(Victor Studio)を共同プロデューサーに迎え、名門ビクタースタジオにてアナログレコーディングを敢行、グラミー賞エンジニアであるTed Jensen(Sterling Sound NYC)がマスタリングを担当するなど、妥協なき決定的な3rd AL「PRIZE」を制作完了。 中心人物のnoriboooooneはGQ06時代に東芝EMIにてデビュー後、pygmy with bitter endsで高く評価され、FoZZtoneのインディー時代のディレクションを務めるなど、ユニークかつ幅広い表現活動を行っている。 メンバーの卓越した演奏を武器に、その情感溢れる詩世界、インテリジェンス溢れるも決して王道から逃げない音楽性とライブは、ジャンルを超えて各所で高い評価を受けている。

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