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the First Night

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Diggy-MO’ is back。SOUL’d OUTのラスト・アルバム『To From』から約1年を経て、Diggy-MO’が通算3作目となるソロ作を完成させた。タイトルは『the First Night』。SOUL’d OUTの活動停止中に行った過去のソロ活動とは、メンタルも環境もまるで違う。これが本当の始まりであることが、タイトルからもうかがえる。我々ファン、リスナーにとって、彼の放つ斬新な音楽とメッセージに撃ち抜かれ、その音を浴びるように聴き、綴られた言葉の真意を探る、濃密な季節がまた始まるというわけだ。まったく、なんてハッピーな日々だろう!

 まず誰もが気になることと言えば、SOUL’d OUTからの連続性はあるのか、あるいは、5年前の『DiggyismⅡ』とのつながりはあるのか。結論を先に言うと、「Diggy-MO’はやはりDiggy-MO’だった」。もちろん、変化はある。そして、もちろん、何も変わりはしない。彼はコンセプトやモードで動く男ではない。パッションと信念で動く男だ。それが2015年という時代に合っているか、シーンのどこに位置するか、そんなことは二の次だ。彼のパッションと信念は落ち着くどころか、より赤々と、高々と燃え上がっている。「凄いよこれは」とだけ、言わせてもらえば充分だ。

 が、資料として書かせてもらっている以上、ここから少しだけ楽曲の解説をしておきたい。聴く前に楽しみを奪うのは野暮の骨頂なので、あくまで手短に。全体のプロデュースはもちろんDiggy-MO’。各曲ごとのアレンジにJUNKOO、Ars Wizard C-VE、Jeremy Quartus、Daisuke Inoue、ベースに櫻井陸来など、おなじみの名前が並ぶ。ホーン・セクションも、ライヴのメンバーと同じ編成だ。

 「the First Night」は、明るい希望と船出の予感に溢れたイントロ
ダクション。壮麗なオーケストレーションによるオーバーチュアだ。そして実質的な1曲目「Lovin’ Junk」は、昨年11月にリリースされた先行シングル。サイケデリック、トライバル、躍動感に溢れたエレクトロニックなサウンドは、スマートに整理されたEDMを聴き慣れた現代人の耳には、野蛮にすら響くだろう。もちろん、彼の狙いはそこにある。大海原へ漕ぎ出すイメージを描く歌詞も、新たな出発にふさわしい。続く「Blue World」は、昨年10月1日のソロ・ライブで披露されていた曲で、『so_mania』『To From』のアウトテイクでしたと言われても通りそうな、明るい飛翔感を持ったエレクトロ・ポップ・チューン。テーマはチャレンジ、そして夢。何度も歌い続けてきた言葉だが、だからこそ、今このタイミングでとてもフレッシュに聴こえる。

 小粋なジャズ・ブルース調のインタールード曲「Caps on」を経て登場する「Cap song」は、間違いなくアルバムの白眉といえる強力な曲だ。ヴォーカルの代わりにオルガンを載せたら、50~60年代のソウル・ジャズに直結しそうなグルーヴィーな曲だが、ご存知の通りそれは、現代のR&Bとしてトレンドな音でもあるという、極めて普遍的な魅力を持つサウンド。クラブで大音量でかかっているシーンがすぐ目に浮かぶ。ゴキゲンなダンスチューンだが、歌詞は思った以上にメランコリックで内省的なところもある。そこが実にDiggy-MO’らしい。「ノンシャランにゆけば」は「Lovin’ Junk」のカップリングで、フィーチャリングされたSHEILAのエアリーな声の魅力がポイント。前曲からの流れで、チル・ソングとして聴きたいとびきりメロウなラブソングだ。

 「ハニーチュー」は、相当にトリッキーでヤバい曲。タブラやダルシマーなどの音色と、インド的な女性コーラスを配した無国籍サウンドに、ファンキーな踊れるベースラインが合体した、国籍不明の摩訶不思議なグルーヴが強烈だ。歌詞は肉感的なラブソングでありつつ、未知の世界へと誘うメッセージソングでもあるように聴こえる。そして「Christmas Dream」、これはもうDiggy-MO‘の、SOUL’d OUTの全曲の中でも屈指のロマンティック・ソングと言って言い過ぎじゃない。シンプルを極めたビート、軽やかなカッティング、
ウィンドチャイム、澄んだピアノ。夢見るようなラブストーリーを、慈しむように語り、歌うDiggy-MO’のヴォーカルの無限の優しさ。聴き惚れる以外にない。

 「MUZiiKFVCK」は、これも『so_mania』『To From』期のSOUL’d OUTにあったような、ソリッドなキックの四つ打ちとシンセのワン・リフに載せ、クールなラップ一直線で突っ走るカッコいい曲。サビのメロディのキャッチーな突き抜け方はダイナマイト級で、シングル候補だと言われても納得する。歌詞は、怒りや悲しみをバネにしながら孤高に立つ、力強いDiggy-MO’像を提示しているようだが、トリッキーな表現が多いため、何かもっと深いものが隠れているような気もする。そして2曲で一つと言えるインタールード「3rd world」と「クビライ・カーン」は、「ハニーチュー」に続く国籍不明の摩訶不思議グルーヴその2。A,B,サビという構成を排して執拗に続くワン・グルーヴが肝で、アラビアともインドともアフリカともつかない、トライバル感覚満載の迫力ある曲だ。ちなみにクビライ・カーンとはモンゴル帝国第五代皇帝、中国で元を建国し、日本では元寇の張本人として知られる歴史上の人物だが、なぜ彼をモチーフにしたのか、歌詞を読むだけではわからない。ただ、「Lovin’ Junk」「ハニーチュー」「クビライ・カーン」と、日本でもアメリカでもない、大陸のトライバル感に共鳴する音がいくつか含まれていることは、このアルバムの持つ正体不明のパワフルなイメージに大いに寄与していることは間違いない。

 次の「Lost Ones」も驚きだ。言わずと知れた、ローリン・ヒルが98年にリリースしたファースト・ソロ・アルバム『The miseducation of Lauryn Hill』収録曲のカバー。原曲を大胆にリアレンジし、ホーン・セクションやピアノ、ジャジィなベースのソロなどをふんだんに散りばめ、軽くスウィングできる明るめの仕上がり。なぜこの曲を選んだのかは不明だが、何度も繰り返されるサビの一行「you might win some but you just lost one」というフレーズが、ヒントかもしれない。いかにもDiggy-MO’好みな気がするのだが、どうだろう。そして、ライヴ会場でのワンシーンを切り取ったインタールード「4 bars」を経て、アルバムのラストを飾るのは「Un Deux Trois」。昨年10月1日のソロ・ライヴ、いきなり1曲目で歌われたこの曲は、ファンキーな横ノリ、スネアとタムの繊細なスティックさばき、ソウルフルな快感に満ちたホーンと、サウンド全体が一体となって押し寄せるパワーがものすごい。歌詞は一行ごとにイメージが乱反射するシュールなものだが、明らかに未来へ向けての意欲を歌った前向きなメッセージが聴き取れる。ラスト曲にありがちな、大向こうを気にした盛り上げは特にせず、一気に突っ走り、余韻を残さずにアルバムは終わる。

 さて、アルバムのキーになる曲は何だろうか。サウンド面での、新たなトライは。ライヴはどうなるのか。知りたいことは山ほどあるが、まずは聴こう。感じよう。考えよう。あくまで第一印象だが、以前のソロ活動の時のような、生き様をストレートにぶちこんだシングル曲や、ギラギラと燃え滾るパッションの代わりに、ブラック・ミュージックをルーツとするサウンドの娯楽性や気持ち良さ、よりビジュアライズされた歌詞のイメージなどを前面に打ち出した、幅広い層に楽しめる作品になっているように思える。何度も聴き返すたびに、新たな喜びも見つかるだろう。ちなみにアルバム・タイトルは、Diggy-MO’が愛してやまない、とあるものに由来している(はずだ)。ググればわかるので、まずはそのあたりをヒントに、この雄大で骨太なエンタテインメントの世界へ入り込んでみてはどうだろうか。

2015年春、Diggy-MO’『the First Night』リリース。ここから始まる旅を、古くからのファンと、新しいリスナーと、多くの人と分かち合えたらどんなに楽しいだろう。

Text by Hideo Miyamoto

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Artist Profile

  • Diggy-MO'

    2003年、SOUL’d OUTのメインMCとしてシングル「ウェカピポ」でSME Recordsからデビュー。 10年以上に渡るピアノ歴、過去の多様なスタイルのバンド活動に加え、ジャズやロック、クラシックなど、幅広い音楽に精通していることから、グループ時代や自身の全ての楽曲におけるソングライティングの要である。 SOUL’d OUTとしては約50万枚を売り上げた1st アルバムのリリース以降、「1,000,000 MONSTERS ATTACK」、「To All Tha Dreamers」等、数々のシングル楽曲やオリジナルアルバムをオリコンチャートトップ10に叩き込み、その音楽性を着実に浸透させてきた。 2007年には、漫画家、荒木飛呂彦氏との深い親交の中で、「ジョジョの奇妙な冒険」の劇場アニメテーマ曲を担当。また、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、グループでの活動の幅を広げる。 翌2008年、その活動と並行し、同レーベルからDiggy-MO’としてシングル「爆走夢歌」でソロデビューを果たす。 特に2009年に2nd ソロシングルとして発表した「JUVES」は、チャートアクションは勿論、自身のアイコンともいえる楽曲として音楽業界だけにとどまらず、多岐に渡り話題となった。 また、2nd アルバムに収録された「STAY BEAUTIFUL」「ONE VOW」「Arcadia」等の歌詞においても、LIFEというテーマにリアリティが追求されたそのリリシズムは、多くの核心をつくメッセージ性は熱く支持され続けている。 ソロにおいて、2枚のアルバム「Diggyism」、「Diggyism Ⅱ」、2度の全国ツアーを成功させたのち、2010年にグループを再始動させ、更に自らの音楽性を追究していく中で、10周年アニバーサリーベスト版「Decade」をリリースするなど、活動を展開した。 2014年、SOUL’d OUTとして通算6枚目のオリジナルアルバム「To From」を発表し、アルバムの全国ツアーとその後の「LAST LIVE “0”」をもって7月に解散。11年半のグループ活動に終止符を打つ。 その後、解散を機に新たに自らの拠点を立ち上げ、発表からわずか2ヶ月後の10月に解散後初のワンマンライブ「LIVE 2014 “DIG IT”」を渋谷TSUTAYA O-EASTにて開催し、成功をおさめる。 11月には待望のシングルCD「Lovin’ Junk」を、12月には自身初となるクリスマスソング「Christmas Dream」を期間限定配信、2015年4月には「Blue World」を配信リリースと精力的な音楽活動を展開する。 そして、5月13日にはSOUL’d OUT解散後初、ソロとして約5年振りとなる通算3作目にして新章開幕といえるアルバム『the First Night』 をリリース、オリコンウィークリーインディーズアルバムチャート1位を獲得。7月にはバンドスタイルでの東名阪ツアーを開催した。 2016年9月から、約1年ぶりとなるライブツアーを開催し、各地での成功をおさめる。 そして2017年3月、4枚目のアルバム『BEWITCHED』を発売、ライブツアーを開催した。 11月にはソロ活動開始より10年目に突入した。 独特な声質を生かしたボーカル、鬼気迫るアグレッシブなライブパフォーマンスは音楽業界の中でも高く評価され、既存のジャンルにとらわれず、あらゆる音楽を昇華させた楽曲スタイルは、日本の音楽シーンにおいて唯一無二の存在であり続けている。

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Ruby Baby Production Inc.