歌詞

テラリウム　抜け出せない

安全と自由を引き換えた場所で

わたしは見ていた

あなたの背中

いつもひとりで先に往く

空虚を埋めるように騒ぐ

春の一夜を余所に

あなたは見ていた

稜線の先に待つ

大冒険と世界の真理

「それを見て何か変わるかな」

ふたりきり　話す基地の中

「夜明け前にここを抜け出すんだ」

「連れていって、臆病なわたしも」

白いシャツを翻すあなた

漕ぎ出した自転車　風になれ

うしろを振り向かないで

地平だけ目指していて

透明なくらいが

息をするにはちょうどいいわ

薄闇さえ鮮やかな色に染まるから

ブーゲンビリア　咲いた

冒険も秘密もない或る街で

プラスとマイナスを飛び交う気持ちが

歪めたふたりの関係性

「本当はとても怖かった」

そんなこと一度も言わなかった

ただたまにいつものその背中が

とても小さく見えたから

勇敢なままであろうと

気丈に振る舞うほど痛々しい

「ねえ、そんな顔をしないで」って

言えるようになりたいわ

本当は気付いていたの

あなたに寄りかかりすぎていたこと

うしろに隠れすぎたせいで

表情さえ見逃してしまっていたこと

白いシャツを翻すふたり

肩を並べ歩き出すプロムナード

横顔の向こうに

朝焼けがきらめいて透けた髪

かなしみは避けられない

はかなきデラシネの生き方でも

終わるにはまだ早いわ

「地平まで往きましょう」

ふたりで

透明なままでは

隣にいられないから