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澄んだ眼をしたショーネンは 少しずつ大人になって
あの小説やあの映画にでさえ もう涙も流さない
澄んだ眼をしたショーネンは 少しずつ深みに嵌りこみ
弾き手を忘れたエレクトリックギターが 今じゃ埃をカブってる
失われたショーネンに 明日はこないのか
失われたショーネンよ 思い出しておくれよ
澄んだ眼をしたショーネンは 幾つもの修羅場を越えられず
信頼していた夜からでさえ 今じゃ溢れ堕ちそうさ
澄んだ眼をしたショーネンは グローバルを重んじつつも
トライバルに命を賭け そして12月の大銀杏となった
失われたショーネンは 「なぜ生きる?」と問われ
失われたショーネンよ 答えを出しておくれよ
失われたショーネンの 柔らかな眼差しに映る
失われたショーネンの 落としものって何でしょう
失われたショーネンは いつもと違う今を探す
失われたショーネンよ 答え合わせはまだなのでしょう
愛情、なんて無情な感情 儚きモノと知る
友情 孤独 絶望 希望 混沌がって・・・
愛憎、ときに非常に激情 刺さらぬモノとなる
崩壊 忘却 咆哮 嗚咽 混沌がって・・・
失われたショーネンは 昨日と違う自分を選ぶ
失われたショーネンよ 忘れてはいけないでしょう
失われたショーネンよ 清算はもうお済みでしょう
失われたショーネンよ もう戻らない 戻れないのか
ワタナベサトシ(作詞作曲/ヴォーカル/ギター/ベース/DTMer/サウンドプロデュース)による音楽プロジェクト。90年代から宅録・バンド活動を続け、2010年代には東京を拠点に3ピースバンドとしてライヴを中心に活動。音楽性は広義のオルタナティヴに位置づけられるが、ポストロック、歌謡曲、実験音楽などを自在に横断する雑多でミクスチャー感覚に富んだサウンドが特徴。日本語へのこだわりを軸に、リズムで世界を旅するような音楽を志向する。 2023年に発表したファースト・アルバム『棺蓋録(Obituaries)』では、エクスペリメンタル、DIY、ポップスの要素が超次元的に融合。「ブラック・メルヘン」とも称される、唯一無二の音世界を築き上げた。 ストレートなバンドサウンドを基盤としながらも、より深く、鮮やかな叙情と幻影を描き出し、深化し続けるワタナベサトシの音楽の現在地が刻まれている2025年のセカンド・アルバム、『想追録(Reminiscences)』リリース後初のシングル。言葉にならない想いが、花となって空に舞い、やがて誰かの心に根を張る――。「OURS」は、『想追録』の叙情性を継承しつつ、さらに静けさと希望を湛えた、ワタナベサトシの新たな表現の地平を示す一曲である。戸惑いながらも誰かと歌を交わすこと、名もなき言葉を紡ぐこと。その行為の先に、痛みや迷いさえも美しい律動に変えていくような、静かな意志が息づく。ポストロック的な空間性と、日本語の響きに寄り添ったメロディ。過剰に語ることなく、それでも確かに「救い」を描こうとするこの歌は、言葉と音楽の力を信じる者たちへの贈り物である。
灰猫堂