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2010年3月18日、午前02時05分、札幌に住む一人の25歳青年は羨望を抱いていた。その夜もきっと街のどこかで行われていたであろう豪勢で少しエッチなパーティーの参加者や、数百人規模の会場がソールドアウトしているライブでステージに立つロックスターや、はたまた夫婦生活30年を超えても仲の良い両親の姿に、青年は羨望を抱いていた。
憧れのロックスターの享年まであと2年、変人の振りも上手くできなかったし、甘く不真面目な本性も隠し切れなかった。
暗い部屋のカーテンを開けると、その日夜空には大きな月が出ていた。
先のパーティー参加者やロックスター達はきっと屋内で酒を飲んでいるし、両親は既に寝ているはずなので、この月の光が見えているのは自分だけなのではないか、と青年は思った。
愛や平和に興味がなくて、酒やドラッグに溺れることもできない青年は、そんな凡百な自分にしか見えない「光」がきっと自分を証明する答えになるのではないかと、深夜時間帯特有の思考回路の下考え及ぶ。
大小種類様々あれど、人の悩みは尽きず、全ての自問自答と決着を付けるべく人生は進む。
浅はかな25歳青年は、そんなことを考えて9つの曲を作り、CDをしたためた。
光のようなカタルシスを得るべく、不特定多数の中の特定の誰かに自分の歌を聴いて欲しくて、その誰かの感情が1ミリでも動いたならばと、切に願ったそんなアルバム。

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