歌詞

久しぶりに田舎に帰り　ばあちゃんの暮らしてる家をのぞいた

手土産に煎餅（せんべい）ぶら下げ　古い木造の玄関をすべらせた

大きな声で『ただいま』と叫び　奥から元気な声響かせた

嬉しそうに『おかえり』って小さな身体で　俺をギュッと抱きしめてくれた

共働きだった親に変わり　夕暮れのカラスが鳴き終わるまで

物心ついたばかりの　俺をおぶって唄を聞かせてくれた

あの背中から見た黄昏は　大きな大きな愛の色やった

思い出せば小学校の時　親父に殴られて泣いてた時も

ばあちゃんが凄い剣幕で　親父に啖呵切り怒鳴り込んできた

戦後の貧しい日々を生きてきて　女ひとりでうちの母ちゃんを育てて

何度も死のうと考えたこともあったという　そんな女性（ひと）やから仕合わせが溢れてる

庭先に咲いた茱萸の木の　赤いつぼみをふたりでちぎって

風鈴の音が聞こえてた　長い廊下に座り一緒に食べたよね

あの甘酸っぱかった茱萸の実は　大きな大きな愛の味やった

『次いつ帰る？』『また逢えるかね？』　言葉の深さに切なくなった

俺の名前も時々間違えて　お盆には必ず墓参りに帰るから

子どもの頃書いたばあちゃんへの手紙　今でも大切にタンスにしまってある

３０年と言う年月（つきひ）は流れて　世の中の常識さえ変わっていく時代に

そうばあちゃんがくれた優しさは　変わらぬ変わらぬ人の愛やった

久しぶりにじいちゃんに逢えて　ばあちゃんも少し照れてるやろうか？

大きな腕に抱きしめられて　昔みたいに寄り添っているだろう