

ひかりは
届かなかったのではなく
届く途中で
名前を失っただけだ
午前はとっくに
夜の内部へ折れ曲がっていて
時計の針だけが
沈まないもののふりをしている
伏せた画面の黒は
海より正確に深度を測る
触れれば誰かに戻れそうで
触れない指だけが生き残る
言葉はみな
水に溶ける前の塩のかたちで
喉の奥に沈殿し
発音されないまま
こちらを見ている
息をするたび
肺ではなく記憶が軋む
忘却とは遠ざかることではなく
より静かな場所へ移されることだと知る
深いというより
戻れないに近い
青いというより
痛みの色が遅い
この部屋は
四方を壁で囲まれているのではなく
水圧で保たれた
ひとつの夜の臓器だ
海の底で
まだ何かが揺れている
名前を与えれば
壊れてしまう種類のひかり
消えたいのではない
ただ輪郭を休ませたい
生きていることが
絶えず触れられていることに似ているから
海の底で
声は上へ向かわない
祈りは浮上ではなく
沈みながら形を変える
わたしはまだ
失われきっていない
そのことだけが
いちばん重い
窓の外の街灯は
救済の模倣として揺れ
遠くのビル群は
沈没しなかった廃墟のように明るい
ひとつ前の会話が
まだ部屋のどこかで湿っていて
返されなかった言葉だけが
骨のように白く残る
忘れたいは
しばしば忘れたくないの倒置であり
大丈夫は
もっとも遠い場所に置かれた本音の仮名だ
平気な顔は
長く着すぎた衣服のように皮膚へ移り
脱いだあともなお
沈黙だけが袖の形で垂れている
夜は暗いのではなく
意味が過剰なのだ
朝は明るいのではなく
問いを急ぎすぎる
だからわたしは
まだ夜に属していたい
答えではなく
沈殿として在るために
海の底で
まだ何かが揺れている
触れられないまま
こちらを照らし続けるひかり
楽になりたいのではない
ただ正しく沈みたい
痛みには痛みの
美しい比重があるから
海の底で
夢だけが水を拒んでいる
覚めないのではなく
醒める速度が遅すぎる
わたしはまだ
ここに残ってしまう
その事実だけが
いちばん深い
もし命が
前へ進むことではなく
耐えながら形を変える
鈍い鉱物のようなものなら
涙は感情ではなく
圧力の単位かもしれない
叫びは音量ではなく
沈黙が割れる瞬間の名かもしれない
愛はしばしば
触れ合いではなく残響であり
喪失はしばしば
不在ではなく、配置換えだ
あなたがいなくなったのではない
わたしの内側の
最も暗い水域へ
移動しただけだ
海の底で
ようやく静かになれるなら
それは終わりではなく
輪郭を返す儀式なのだろう
海の底で
まだひかりが揺れている
救いと呼ぶには遅く
絶望と呼ぶにはやさしすぎる
消えたいのではない
ただ、これ以上
砕けない場所まで
降りてみたいだけだ
海の底で
それでも鼓動は続いている
命とは希望ではなく
停止を拒む微かな癖かもしれない
朝は来る
というより
上から薄まっていく
わたしはまだ
沈んだままで
少しだけ
生きている
- 作詞者
fukucch.owo
- 作曲者
fukucch.owo
- プロデューサー
fukucch.owo
- その他の楽器
fukucch.owo

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fukucch.owo
夜チルemofi2
夜と感情のあいだにある音を、もう一度。
夜チルシリーズ第二弾となる本作は、
Lo-Fi、Chill、R&B、HIPHOP、Ballad、City Pop の余韻を織り交ぜながら、
深夜の静けさ、切なさ、迷い、ぬくもり、そして少しだけ差し込む朝の気配を描いた作品です。
眠れない夜、言えなかった言葉、
消えない面影、揺れる心、ほどけない感情。
そんな誰にも見せない夜の内側を、
より深く、よりエモーショナルに閉じ込めました。
静かに沈む曲もあれば、都会の灯りの中で揺れる曲もある。
それぞれの楽曲が違う表情を持ちながらも、
すべては「夜チルemofi」というひとつの世界へつながっています。
夜を生きるすべての感情に寄り添う、
夜チルシリーズ第二章。
夜チルemofi2、ここからまた新しい夜が始まります。



