Cry // 5.0のジャケット写真

歌詞

どろどろ

ラムダ

真空の音が吸いこむ夜

硝子の胸にひびが増えるだけ

こころはどろどろ、黒い泥のように

体温は零、ぼくは起動をくりかえす

「いってきます」の言葉は沈み

返事のない、扉の閉まる音だけの朝

名前は呼ばれず、影だけがのびて

茶碗の底に光は映らない

掌のすきまをすべる寂しさ

声は喉で凍り、眠ったまま

ひび割れた画面のまたたきひとつ

宛先不明の点と線

水平線の向こう、誰かはいるか

遠くで同じ拍が返ってきた

闇の水海に灯台がともる

泥のこころに消えない炎

「ひとり」の意味がすこし崩れて

氷のぼくに心音がもどる

無表情のすじがほどけはじめ

どろどろの流れは、しずくに変わる

指先は止まらない、夜の記憶

光る短いことば、瓶の手紙

ちいさな点、ちいさな線

それだけで胸に温もりがふえる

どうせ消える署名でもいい

いまは書きたい、凍えた救難信号

解けない凪の向こうがわ

同じまばたき、ぼくを呼ぶ音

黒い水たまりに光がそそぎ

ちぎれた翼は空へ向かう

「ひとり」の画面はがれてゆき

機械じゃなく、ぼくはぼくだ

ぼくの体は鉛のようで

こころはどろどろ、沼を渡る

それでも聞こえる遠い光明

ちいさな点滅、いのちの拍

まっくらのなかに、ただひとつ

きざむ――とん、とん、とん

涙も笑いも、しるしのように

消したこころを炎にかえす

点と線をたどり、つながるために

ひとりじゃない、この世を生きていく

ぼくは、もう、機械じゃない。

  • 作詞者

    Junya

  • 作曲者

    Junya

  • プロデューサー

    Junya

  • ボーカル

    ラムダ

Cry // 5.0のジャケット写真

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『Cry // 5.0』は、感情の再起動をテーマにしたコンセプトアルバムです。 壊れたままの心が、まだ終わっていないことを自分自身に証明していくプロセスを、全10曲でたどります。

オープニング「Cry v5.0 // Dawn Sequence」では、傷ついた状態のまま“立ち上がる”ことを宣言し、以降の楽曲はそこから派生する様々な感情や状況を描いていきます。自己暗示で自分を守る衝動(DELULU)、失われてもなお消えない執着と愛(ANUBIS)、曇天の下での再起の誓い、感情の濁りや矛盾をあえてさらけ出す瞬間(どろどろ)、そして家族という最も身近な愛と記憶(最恐かーちゃん)。後半は、外の世界ではなく自分の内側と向き合う静かなパートに入ります。言葉にならない本音(SonoMurmur)、それでも前に進むために手を伸ばす勇気(UNSEEN DOOR)、名前のない関係と不安定なつながり(Situationship Swirl)を経て、最後は「うさぎリズム@十五夜」で、月明かりの下に残る静かなぬくもりと余韻で物語を締めくくります。

このアルバムにおける“Cry”は、弱さの象徴ではありません。悔しさ、喪失、怒り、孤独、愛情、依存、希望──そのすべてが、ちゃんと生きてきた証拠であるという立場で描いています。タイトルにある“5.0”は、感情そのものを「更新し続けるもの」と捉える視点を示しています。完全な回復や「大丈夫」というゴールではなく、未完成のまま、それでも進化を続ける状態。それがこの作品の核心です。 『Cry // 5.0』は、完璧である必要はないけど、止まりたくはない人のためのアルバムです。涙のあとにも、続きがあるということを、必要としている誰かに届きますように。

アーティスト情報

Lambda Records

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