Lyric

電車の窓から映ろう銀の色が

息をのむよりも早く老けた街に溶け込む

まるで目の奥を見るように

ここからは故に音無しく

後ろ髪を結ぶくせに特に変わったこともなく

また海人の小舟に目を配る安価に

上手く馴染めず雑に手解き

まるで見知り合いの関係だけで過ごし通せる

派手な靴下で出かけた

優しさは置いてゆく

時間通りの午後

人気の無い左歩道

昨夜の科白、考えてなぞる詰まり固まる

指折り数えるように見返す映画館の映画

慣れない掲示、はしゃぐ子供の声

(とはいえまた木陰に)まだ小さい

(余す種火に)まだ小さく

夕立が土を洗った

路地に咲いた花を

45度の坂を

登るあなたを

アパートの名を

その隙間を

等間隔の窓が並ぶ街角

見上げた空の青

その明るさと

雲の間を

覚えたての詩を

おぼえてない香りとその顔

忘れた花を

摘むぎ歩く帰路

アルベドのドレスに

黒鍵のトリル

黄変の風景に

光線のブーケ

灯り伸びて浮かぶ

遥か遠くまで届く

秘密の場所で

深く誰かを祝う

あれは遠い過去のこと