中身半分のチョコレート

【中身半分のチョコレート】
小さな頃から僕には　父ちゃんという奴がいなくて　父ちゃんは　違う家族の父ちゃんだった
小さな頃から僕には　母ちゃんしかいなくて　それを劣等感に思うことは少しもなかった

朝昼晩と僕ら問題児3人兄弟のため　汗水流して隠れて流した涙もあるでしょう
アナタはそういう人だから　めちゃくちゃなとこもあるけど　なんせぼくらの母ちゃんだからな

※たいした親孝行もできず　むしろ迷惑ばかりかけて
沢山のゴメンナサイと　沢山のありがとうだ

学校に呼び出し　大人になっても警察の呼び出し　いくつになっても末っ子だ　甘えん坊で
父ちゃんがいてくれたら　そんな僕を殴ってくれたろうな　なんて　思ったことが一番の甘えだ

※
僕が内地に働きに行く時あなたは　[あんたの料理当分食べれないから作って]と言った
そんなあなたに僕は[普通逆だろ、当分食べれないおふくろの味を俺に作ってくれよ]
そう言ったら　確かにみたいな感じで作ってくれた天然の母
内地に住んで半年が過ぎた頃　あなたからの郵便物が届いたんだ
見たら高そうなチョコレートの箱　　蓋を開けると中身半分が食べられていた
母ちゃんは親戚からお土産でもらったチョコを自分らだけで食べるのは申し訳ないと思ったそうで　　
内地で一人頑張る息子に　半分だけ食べて残りのチョコレートを送ったそうだ
ありがとう　でもな　母ちゃん　普通食いかけの奴を送るかな。普通贈らないと思うぜ。
オレすごく笑ってさ　なんか泣けてきてさ　アナタらしさを…すごく感じたんだ
※※
せっかくもらった命　捨てようと思ったこともある　一番謝りたいのは　きっとそういうことかな
そして一番ありがとうって想うのはあたりまえだけど　僕を産んでくれて育ててくれて　ありがとう