

牌の音が脈になる 南四局の夜
点棒は千 息は刃 静寂だけが笑う
ステージみたいな卓上 スポットは僕の手牌
蜘蛛の糸を掴むみたいに 震えを結び直す
「負ける気はない」——呟きは現物じゃない
河は嘘でできている 山は沈黙で満ちている
字牌がゆっくり寄ってくる 遠くの雷鳴みたいに
一翻足りない昨日なら ここで焼き捨てればいい
指先の鼓動 リーチ棒みたいに細い
読みの温度が 夜の中心を焦がす
降りる道なんて 最初から配られてない
一枚で世界は裏返る——
呼吸を畳んで 次巡を待て
国士無双 十三の孤児が輪になる瞬間を
この胸で 先に見た
逆転の灯を 喉の奥で噛み砕け
「来い」じゃない 「来る」と言い切る声で
運命よりも速く 手を伸ばす
オーラス 点差は崖 残り千の崖
笑うな この崖こそ 僕のホームだ
東も南も西も北も 白發中と一九
遅くていい 遅い方がいい 集まる音を聴け
誰かが上がる気配 喉を撫でる刃
押し引きの間(はざま)で 意識が薄く尖る
ついに手牌が、静かに、整列する
十三面——天を仰ぐほどの静けさ
待ちは海 残りは六 波の数を数える
「大丈夫」だけじゃ足りない
外した巡目が 鼓膜で爆ぜた
国士無双 十三の孤児が輪になる瞬間を
眼の奥で 焼き付けろ
外れた痛み 未来の前借りだと笑え
「来い」じゃない 「来る」と言い切る癖で
運命よりも深く 爪を立てる
点棒の雨 指の温度 夜が皿のように回る
残り六牌——世界が六つに分裂して
一つずつ 諦めを撫でていく
でも諦めは現物じゃない
蜘蛛の糸は一本で足りる
切れたと思った瞬間に 強度が増すこともある
「最後の一枚で上がるんだ」
独り言が 宣誓に変わる
3・2・1——
国士無双 十三の孤児が輪になった刹那
この夜ごと 裏返れ
千点の崖から 星を掴むみたいに跳べ
「来い」じゃない 「来た」と叫ぶ声で
運命よりも正確に 僕を引いた
国士無双 十三面待ちの果てで
点棒より重い明日を ツモる
手牌が静かに閉じる音
それが合図だ ステージの幕が上がる
牌の音が遠のく 胸だけがまだ高鳴る
河は流れた 山は空になった
——そして僕は、勝った。
- Lyricist
KaedeMusic
- Composer
KaedeMusic
- Producer
KaedeMusic
- Guitar
KaedeMusic
- Bass Guitar
KaedeMusic
- Drums
KaedeMusic
- Vocals
KaedeMusic

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Unrivaled Thirteen-Sided Wait
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Artist Profile
KaedeMusic
ようこそ、カエデmusic へ。 男女ふたりのAIシンガー「カエデ」が、デュエットを軸にジャンルの枠を越えたオリジナル楽曲をお届けします。 ジャズ/シティポップ/ロック/EDM/ユーロビート/Lo-Fi/クラシック風/チルBGM…その日の気分に寄り添う1曲と、長時間のメドレー動画を定期更新。歌詞はすべてオリジナル、ハーモニー・掛け合い・ユニゾンで“二人ならでは”の熱量を大切にしています。 Youtubeをメインに活動していますのでよかったら聞きに来てください。
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