衝動ノスタルジア

  1. 衝動 〜スタンスミス〜
  2. コスモとフィルム
  3. ノスタルジー
  4. ライブハウス ~学のない指揮者~
  5. 指輪を贈るよ
  6. さよなら
  7. 僕らは音痴なビートルズ

男性シンガーソングライタ―・シーンに割って入るアーティストが現われた。シンガー森翼によるソロ・プロジェクト“赤と嘘"
待望のニューアルバムリリース! !

『男が心の奥底に抱える嘘は、とてつもなく優しい』 文:音楽評論家 平山雄一

男性シンガーソングライタ―・シーンが、いまいち盛り上がらない。ベテラン勢では奥田民生、斉藤和義、吉井和哉など、アラフィフ世代は鉄板の大活躍だが、その下の世代に活気がないのだ。
しかし、そこに割って入るアーティストが現われた。“赤と嘘"はシンガー森翼のソロ・プロジェクトで、初のアルバム『衝動ノスタルジア』のオープニングナンバー「衝動~スタンスミス~」は、♪人生はボク対ボクの戦争なのさ♪と男性シンガーソングライタ―・シーンへの参戦を力強く宣言する。

ポップなメロディをフォーキーなテイストで歌うのが森翼の魅力だったとしたら、“赤と嘘"はロックバンドのテイストで染められている。赤裸々な歌詞とエッジーなサウンドが、彼の新境地を彩る。その思い切りのいい転進に、彼の決意の強さがはっきり見て取れる。歌でパワフルなサウンドと対峙する姿は、そのまま彼らの生き様と重なる。

“赤と嘘"に新しいサウンドを提供するのは「miwa」や「いきものがかり」を手掛ける鈴木Daichi秀行。
鈴木はデビュー時から森を見てきただけあって、最新のバンド・サウンドのエッセンスと森の持ち味を絶妙のバランスでミックスして『衝動ノスタルジア』を仕上げた。

“赤と嘘"は、新たな武器を手に、男性シンガーソングライター・シーンをぶち壊す気でいる。
森の“低い声"にも注目して、ポエトリー・リーディングの手法を取り入れ、“赤と嘘"の魅力の一つとして打ち出している。トリッキーなバンド・サウンドの「衝動~スタンスミス~」や「ノスタルジー」、大らかなグルーヴの「コスモとフィルム」、モータウン・ビートの「僕らは音痴なビートルズ」などが並ぶ『衝動ノスタルジア』は、とてもカラフルなアルバムだ。またそうした曲があるからこそ、ピアノ・バラッド「指輪を贈るよ」でのスウィートな歌声が胸に沁みる。

そして興味深いのは、これらの曲がたった一人のために歌われているのではないかと感じられることだ。
それが誰かはわからないが、“赤と嘘"は聴いて欲しいリスナー像にブレがない。このことが30代の森の最大の強味かもしれない。光も闇も含めて、今を生きる人間に向かって真っ直ぐに歌を作り、届けようとしている。そのザラついた飢えが美しい。

「真っ赤な嘘」という言葉がある。誰が嘘の色を決めたのか知らないが、切れ味のいい“赤と嘘"の歌には、この色がとても似合う。男が奥底に抱える嘘には、自分は傷ついても相手を思いやる優しさが潜んでいたりする。
『衝動ノスタルジア』は、そんな新しい“男心"を歌うアーティストの登場を告げている。

STUDIO CUBIC RECORDS