歌詞

宇宙の遠い場所で 二つの中性子星が回る

太陽より重い質量を 小さな半径に押し込んだ天体

重力波を出しながら 軌道はゆっくり縮んでいき

やがて衝突の瞬間が 避けられず訪れる

合体の衝撃で 中性子を多く含んだ物質が

外へ向かって高速で飛び出し 熱と光を生み出す

その発光現象が キロノバと呼ばれ 短い時間だけ 明るさを放つ

この中で起きるのが 急速中性子捕獲の反応

鉄より重い核が 次々と中性子を取り込み

不安定な状態から β崩壊を繰り返して

金や白金などの 元素へと姿を変える

ここで作られた 金の原子核が 宇宙空間へ 拡散していき

長い時間をかけて 星間物質に混ざり 次の星や惑星の 材料になっていく

その後 星間雲が収縮し 太陽系が形成され

惑星のもとになる塵の中に 古いキロノバ由来の粒子が残り

地球の誕生とともに 地殻に取り込まれた

それが地球に存在する 金の源になる

地表に見つかる金鉱脈は マグマや熱水が運んだ結果だが

その“材料そのもの”はもっと古い 中性子星の合体で生まれたもの

だから今 地球で手にする金属は 遠い宇宙の爆発の産物であり

数十億年を経て辿り着いた キロノバの痕跡を含んでいる

装飾品も電子部品の金も その由来をたどれば同じで

中性子星合体で作られた粒が 時を越えて地球に集まった結果

金はキロノバで生まれ 宇宙を旅して地球に届き

地殻に定着して発見され 今 私たちの手の中にある