風邪をひいたみたいだ
なんて言えたらよかった
雨宿り代わり 夜半 図書館に一人
解体を待つ 建物はひどくかびくさい
そこで読んだ一冊が 心の在り処を語っていたんだ
訳のせいかも知れないが 駄作すぎて笑えたんだ
風邪をひいたみたいだ
なんて言えたらよかった
僕の中に潜む 気の触れた考えは
全て正常な僕の 理想論に他ならないが
生きていたいとは つゆも思わないくせに
認められたいとは思う なんて無様な背信だ
らしくない感情 からの避難経路は絶たれ
かなわない幻想 抱え沈む幽霊は誰
響かない心臓 巡る血の紛い物は枯れ
瞬いた閃光 眼の端がかすかに捉えていた
風邪をひいたみたいだ
なんて言えたらよかった
熱を帯びた肢体 電子的な摩擦に由来
まるで頭痛みたい 何かに堪えながら地下に降りる
隅に横たわる 腐食した「機械」を見つけた
僕は手を重ねた ただそれしかできなかった
似せた肌 熱伝導 温度以外、転送は不可
たとえ明日の僕が 罪なき誰か 傷つけたとしても
嘘や間違いなどではない それだけが僕の本心だ
何も変わらずとも あるいは何かを変えられたとしても
夢や空想などではない それこそ僕の本懐だ
風邪をひいたみたいだ
なんて言えはしないな
風邪をひいたみたいだ
なんて言い訳はなしだ
- 作詞
宏川 露之
- 作曲
ein himinn
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アーティスト情報
ユキニフル
物語と音楽をコンセプトにしたユニット。 冷たさや儚さで覆われた世界を「雪」に例え、そこに降り積もる"何か"をモチーフに名付けられたこのユニットは、故郷と居場所、後悔と喪失、それでも生き続けるということをテーマに独自の世界観を表現する。 小説とCDが同封される作品は、痛々しくも確かな手触りをもって描かれることで、フィクションであると同時に現実とも通底する圧倒的な詩世界を浮かび上がらせる。
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