Lyric

今はもうこの世にいない人に届けるには上向いて歌ったらいいんかな

俺が覚えとる小さい時の記憶。

トイレ出たあとは新聞紙の匂いがして、

これでもかってくらい戸締り確認して、

冬はこれでもかってくらい厚着させられた

父の教えるアイススケートの教室

上のクラスに上がれんくて、

悩んでた俺に言葉はなくただ、

手本だけ見せてたんはひいきせんようにって配慮やったんかもね。

氷の上を滑ってる父は…

見惚れてしまうくらいイキイキしてたっけな

相手は小6こっちは小2、

適うはずもない上級生

そいつの拳が俺に振りかぶった、

その手をどこからともなく現れ掴み、

「うちの子に関わらんでくれ」って

それからそいつビビって一度も近付かんくなったでね

あっという間に俺も思春期んなって

中高はあんまり会話した記憶がない

けど進路選ぶ時、大学行かん選択を許してくれたのはあなたでした。

「成功するか野垂れ死ぬか好きにしたらいい」

今でもその言葉に救われてます。

東京出てからはロクに帰省もせず、

会うことも話すこともなく縁切り状態

描いた手紙は…返事はありませんでした。

7年ぶりの再会は病室のベット

「なんや？気まずいんか？」

「あたりまえやん合わす顔なんてないよ」

「何も気にしてへんよ」

7年の空白を繋いだ会話 その数年後宣告された、余命持ってあと2年

もし戻れるなら 想像して

みて もうどうしても

会えない ない ない ない ない ない

すっと過ぎ去って逝くよ

言葉じゃかすれてしまいそうで(My father)

そこにいるの？青く光る夜空の彼方

身体もうまく動かせんくなって最近の唯一の楽しみは読書だけやって…

けど文字ほとんど見えてないよな

コロナのせいで限られた面会時間

せめてできる労い 肩に手伸ばし 凝りをほぐすのは小学生以来

親子の距離を縮めた病

そして遠ざけた 2日後…父は他界

葬式では…

平気なフリして意地でも涙流さんかった

それは俺よりも妹にたくさん泣いて欲しかったからって

兄なりのプライドもあって

素直に向き合えたのって最後の2.3年

悔いても戻らんけど、早すぎる63て

遺品整理でみつけた 返事のなかった手紙は大切にしまってくれとったんやね

もし戻れるなら 想像して

みて もうどうしても

会えない ない ない ない ない ない

すっと過ぎ去って逝くよ

言葉じゃかすれてしまいそうで(My father)

そこにいるの？青く光る夜空の彼方

昔進路のことで揉めたけど、自由にやらせてくれたやん？

聞いてや! 今は超有名大学出た奴らと肩並べて大手で仕事しとるよー

聞いてや! ずっと夢やった横浜に家買って、可愛い娘も産まれて、

こうやって好きな音楽も続けとるよ 聞いて! 聞いてや…

遅すぎて聞かせられへんかったね

迷惑かけてしかいなかった人生にごめんなさい

見た目も性格も真逆で同じクラスならまずつるまんような2人やけど

服のサイズぜんぶピッタリやったよ笑

でも1番よかったこと、妹の結婚式参加できたこと

あん時の幸せそうな顔が遺影になったよ

もし戻れるなら 想像して

みて もうどうしても

会えない ない ない ない ない ない

すっと過ぎ去って逝くよ

言葉じゃかすれてしまいそうで(My father)

そこにいるの？青く光る夜空の彼方

正直、命日ははっきりと覚えていません。

だって思い出したい時に思い出せば良くない？

半分に欠けた月が昇る夜は 最後の日とかぶるのでそっと手合わせてます

フルネームに「月」って字が２つあった父

俺は今フルネームに「月」が２つ入った子の父になった

旅立ちから日を重ねるごとにこの子は成長してくよ