Lyric

昨日の食事も忘れちゃうあなたが

ずっとずっと　守っていた

凪いだ今日にでも消せやしなかった

悠遠な黒い傷

車窓の奥　すれ違う度に映る

死んだような視線とか

サーチライトから逃げ惑う僕等

どっか　ちょっと重なった

「合図の音だ　深い眠りまで　ふたり」

曇った空が好きだと零した

その声すら救いに思えた

暗いくらいの心像　取るに足らないな　いま笑いましょう

狂ったままで涙を零して

泣けないのなら熱を教えて

あなたが僕に似たままでいて欲しかった

それだけ

気候の変動に揺蕩う手首を

絶えず　ぎゅっと　掴んでいた

どんな滑稽な笑い声の日も

僕等　正しかった

悲愴の声すら嗤えちゃう痛みを

ずっとずっと　纏っていた

そんな寂寥に満ちた横顔が

どっか　凛と綺麗でした

「精緻な嘘は　深く麗しい願い」

笑った声が鼓膜を焦がして

そのせいで静寂が怖くて

差し出した両手　包む手は際限なく優しかった

飾った言葉　ひとつ間違えて

なけなしの言い訳を探した

あなたが僕に　救いを見て欲しかった

それだけ

あなたの歌が雨音と　どこか溶け合うのは

温かさの隙間に　憂いが灯るから

僕はどうやって歌おうか　翳る烏兎の間で

瞼を閉じて　痛みを持って

ふたり笑った　あの日みたいに

稚拙な声が頭に残って

そんな残滓まで手放せなくて

鳴り出した心臓　嘘ひとつ無いな　いま謳いましょう

ひとつになんてなれないと気付いて

泣けないままで　ひとり残った

あなたの閉じた扉が　まだ開かないんだ

曇った空が過ぎるその前に

泣くような声でまた笑って

ブルーバックの映像　夢は覚めないな　痛いままの今日

望んだ筈の未来まで着いて

泣けないのに雨音は鳴いた

あなたの声が隣で響くと愛しかっただけ

あなたが　僕の救いでいて欲しかった

それだけ