歌詞

炎天、白昼夢、蝉時雨

白い天井と、消毒剤の匂い

西陽に照らされた病室で目を覚ました。

長い夢を見ていた気がした。

窓を開けて流れ込む潮風に

何かを思い出しそうだった。

何かを失った。

けれど何かを取り戻した。

抜け殻みたいなこの体に

確かに光が灯った。

夕刻、チャイムが鳴る

これはきっと、忘れてしまった物語

どこか遠くから帰ってきた、今、

旅が終わり、旅が始まる。

明日は日記を書いてみよう

喜びの多さを思い出せるように

忘れたいことも書いてみよう

何が痛むのか、道を示すため

明日は海でも眺めよう

旅に出た船を見送れるように

朝焼けと共に起きよう

今生きることをまた始めるため

咲いて実って迸った夏は

誰かの記憶が孵ったんだ

描いて祈って

消えていく夏を忘れぬように

さよならじゃないだろう

忘れなければ　憶えていれば

また会える日々だろう

過ぎる夏　生きる

明日は樹の下で涼もう

そよ風の詩に寄りかかるように

褪せた手紙を出しに行こう

波が歌うように　音を探すように

さよならじゃないなら

悲しまないよ　泣かないでいよう

心が宿るだろう

征く季節　生きる

さよならを言うのは

痛みが癒えて　形を変えて

生まれ変わるときさ

旅人　征け

さよならじゃないだろう

忘れなければ　憶えていれば

また会える日々だろう

過ぎる夏　生きる

さよならが怖くて

旅立てなくて泣いてた君と

会えたこの季節に

また手を振る