

鳥居の前で
一度立ち止まった
帽子を取って
小さく頭を下げた
左右に座る
二匹の狛犬
片方だけ少し
顔が怖く見えた
石の階段を
ひとつずつ上がる
思ったより長くて
途中で息をついた
振り返ったら
さっきいた街が
木の隙間から
小さく見えていた
急いで来た
わけじゃないのに
階段の上では
歩くのが遅くなった
参道を歩いて
少しずつ
静かになった
何を願うか
決めてきたはずなのに
ここまで来たら
うまく言えなくなった
叶えてほしいことより
今日ここへ来たことを
覚えていたかった
手を洗って
口をすすいで
冷たい水で
少し目が覚めた
賽銭を入れた
乾いた音がして
手を合わせたまま
目を閉じていた
お願いごとは
ひとつのはずが
頭の中には
いくつも浮かんだ
結局どれも
ちゃんと言えなくて
最後はただ
よろしくお願いします
それだけだった
目を開けたら
木の葉が揺れて
さっきより風が
近く聞こえた
参道の途中で
何かひとつ
変わったわけじゃない
仕事のことも
この先のことも
帰ればきっと
また考える
それでも今は
答えを出さなくても
いい気がしていた
帰る前に
おみくじを引いた
小さく折られた紙を
ゆっくり開いた
一番最初に
運勢を見て
そのあと細かい文字を
上から読んだ
待ち人とか
仕事とか
願いごととか
自分に都合のいいところだけ
もう一度読んだ
書いてあること全部を
信じるわけじゃない
でも気になる言葉には
ちゃんと線を引きたくなった
大吉ならうれしいし
そうじゃなければ
少し気にする
そんな自分が
なんか普通で
少しだけ笑った
未来を知りたくて
引いたはずなのに
紙を畳んだ頃には
明日のことくらい
明日考えればいいと思った
参道を戻って
狛犬の横を
また通った
上がる時より
短く感じた階段を
今度はゆっくり
下りていった
願いが叶った
わけじゃない
悩みが消えた
わけでもない
それでも来た時より
少しだけ
肩の力が
抜けていた
参道の向こうに
いつもの街が
待っていた
鳥居を出る前に
もう一度だけ
頭を下げた
おみくじを
ポケットに入れて
いつもの道へ
戻っていった
- 作詞者
YOHAKU
- 作曲者
YOHAKU
- プロデューサー
YOHAKU
- ラップ
YOHAKU

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参道
YOHAKU
アーティスト情報
YOHAKU
言葉にならなかったものを、そのまま残す音。 静かなトラックに乗せて、日常の中にある違和感や余白を描く。 特別じゃない時間、名前のつかない感情、 消えなかったものだけを拾い上げるように。 強くは言わない。 でも、確かにそこにある。
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