Lyric

「あぁ アイスクリームって何て反社会的な味わいなんでしょう」

なんて君は呟いた

それはきっと何度目かの愛の告白 あるいは独白

毒を吐くよりも明快な言葉だ

溶け出して 滴り落ちて また灼けた路とキスをして

世界に小さなシミを作る クチナシの色

どんどろり

ひとくちとひとくち 交わし合う諧謔のフレイバー

帰り道 ベタついた指を風に晒してさ

君の髪の色 思い出してる

「『愛し合おう』なんて 何て俗世間的な幕引きなんだろう」

そうやって僕は嘯いた

それはまさに 一世一代の愛の告白

誰の祝福も要らないよ ただ不正解な二人だ

流れ出して 立ち込めて 揺れる陽炎と絡まって

僕らを隠し 包み込むバニラの香り

ふわり 揺蕩う沈黙は

淡く口融けていくオーバーラン

遠く 自動ドアから零れる風も届かない

誰も知らない場所

煙たいくらいの熱の中で

飲み込んでもまだ冷たくて

夢の続き？ こめかみの疼き

嗚呼 何て蕩けた痛みだろう

どんどろり

ひとときとひととき 混ざり合う錯落のフレイバー

この日影が沈む陽に攫われるまで

クラクラ

ふたりきり ふたくちめの

甘い甘い甘い甘い 甘いフレイバー

別れ際 ベタついた指を重ね合わせてさ

涼しい顔で笑う君の鼻筋を伝う汗を見ていた

アイスクリームって何て反社会的な味わいなんだろう