Lyric

急ぎ足で渡る横断歩道

君は向こう側で待っている

律儀に花束抱えて

ひどい雨つづきの異例の夏

花が次々枯れ落ちていく

それをただ眺めて過ごした

急にノイズ出す電子レンジ

微妙に位置変えるボロい椅子

明け方に君の長い髪をゆっくり撫でていく　生温い風

違和感にそっと振り返る君

枯れた花束越しに見つめる僕

触れることできない手と手が今

同じように小さく震えてる

愛の言葉は全部諦めて

想像のずっと先で待ち合わせして

交わらない影と影が今

僕らだけの放物線描いて　部屋を満たす

覗き込んでみるグッピーの水槽

君は話しかけて餌あげてる

涙をうっすら目に浮かべ

しょうもないニュースと同調して

暗い部屋がチカチカと光る

外はまだ小雨が降ってる

不意にページ捲れる文庫本

電話越しに聞こえるハミング

真夜中に君の白い頬に遠慮気味に触れる　ざらついた風

違和感にそっと振り返る君

水槽の影越しに見つめる僕

触れることできない手と手が今

恐る恐る何かを求めてる

夢のつづきはとうに諦めて

想像の裏側で待ち合わせして

交わらない視線と視線が今

僕らだけの放物線描いて　部屋を満たす

うごきだす

気が済むまでずっと