

制服にしみついた雨のにおいが
なぜか今日だけ
やけに重かったのです
帰り支度のざわめきの中
わたしの声だけ
どこにも見つからなかったのです
「またね」って言葉が
どうしても喉につかえてしまったのです
君の背中が
いつもより遠くて
悲しいふりをして
立ち止まってしまったのです
六月の淵に立って
沈まないように
そっと息を整えた
まだ“平気”って言える準備ができていなくて
笑ってごまかすには
今日は少しだけ正直すぎました
誰にも気づかれないように
静かに泣いたこと
あなたにもありますか
水たまりをよけた足音が
イヤホン越しに
聴こえた気がしたのです
すれ違う人の顔が全部
誰かになりたがっているように見えたのは
気のせいでしょうか
言いかけた言葉のすみに
たしかに“すき”が混ざっていました
でも それを拾い上げるほど
わたしは強くもずるくもなれなかったな
六月の淵を越えて
世界は予定通り夏へ進んでいくらしい
わたしの心だけ
まるごと取り残されたままでした
あと少しだけ黙っていれば
なかったことにできるかもしれないと
思ってしまいました
言いかけた言葉は
君に届けず歩き出しました
- 作詞者
泣依
- 作曲者
泣依
- プロデューサー
泣依
- ボーカル
泣依

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六月の淵
泣依
アーティスト情報
泣依
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