

たまねぎを切る手は まだ止まらない
涙の理由は スパイスのせいじゃない
ブラウンソースの 深い沼の中
沈めたはずの 不満がまた浮いてくる
「遅くなる」のひとこと それだけでいい
既読もつかない 冷たいスマートフォンの画面
お肉を炒める 激しい音で
私のイライラを かき消そうとした
時計の針は 二十二時を過ぎて
よわびの鍋は 独り言のようにボコボコ鳴ってる
もう 限界なの
あなたの大好きな ハヤシライス
作って待ってたのに あなたはなんで
LINEくれないの?
お皿の上で 冷めてゆく愛
一口食べれば 酸っぱすぎる
煮込みすぎた 私の執着(おもい)
マッシュルーム バラバラに刻んで
あなたの嘘を 探すみたいに
赤ワイン 注ぎ足したグラス
飲み干すたびに 孤独が回る
ねえ 今どこにいるの?
誰と笑っているの?
ハヤシライスは 明日の方がおいしいなんて
そんなの 慰めにもならないわ
あなたの大好きな ハヤシライス
作って待ってたのに あなたは何で
LINEくれないの?
ドアが開く音 待ちわびる夜
心の中まで 焦げ付いている
「ごめん」のひとことで 許せるのに
ハヤシライス 冷めていく
ハヤシライス 待っている
結局 捨てられないまま……
- Lyricist
Hir
- Composer
Hir
- Producer
Hir
- Programming
Hir

Listen to The Hayashi Rice Woman by Hir
Streaming / Download
- ⚫︎
The Hayashi Rice Woman
Hir
男の僕が女性の情念を歌うことで、その凄みを際立たせたくて。90年代ジャングルの激しい鼓動は、連絡を待つ焦燥感そのものです。甘くて重いハヤシライスに、煮込みすぎた執着を重ねました。最後、結局捨てられない……。そんな肯定も否定もできないままならない『リアル』を、この疾走感と一緒に味わってください。



