fairytale-reality

今日の私は、夜お布団に入ったら、さよなら。
明日、目覚める私は、もう別の人。  
そういうことにした。

毎日いっぱいいっぱいで。だけど、容赦なく朝は来る。
私は不器用だから、忙しさになかなか慣れることができなくて。
だんだん、自分でも気づかないうちに、追い詰められていた。
何かを諦めれば、どれか少しでも手を抜けたら、誰かの真似ができたら、どこかを変えれば、成長できるのかな？
ぼんやり考えるけど、具体的なことはなんにも思いつかない。
もう、行動する気力もない。
頭の中の私には、今日も一歩も近づけない。

また朝が来る。
毎日、家で、電車で、もちろん人前でも、泣くのを我慢して。
だけどすぐに耐えきれなくなった。
自分で自分の気持ちが分からなくなった。
心配してくれる人を鬱陶しく感じるようになった。
見えるものが色褪せて、何もかも平面になった。
息をしていることがバカバカしくなった。


全部捨ててしまえばいい。
私にあるのは、「今」だけ。
何か失敗するたびによみがえる過去も、一人になると押し寄せる後悔も、割り切れなかった選択も、
頭の中で夢見る「理想の自分」も。
背負って背負って押し潰されるくらいなら、全部捨ててしまったほうがマシだ。


今日の私は、夜お布団に入ったら、さよなら。
明日、目覚める私は、もう別の人。それなら、今日どんなことが起こっても、明日の私はそれを知らなくていいから。
そういうことにした。

そうしてでも私は生きるしかない。
諦めたって、世界はなんにも変わらない。
私を傷つけた人も、嘲笑った人も、騙した人も、みんな平気で笑って生きていくのだから。
悔しい。
私は諦めない。なにひとつ諦めない。
全て捨ててでも生きていたい。

そうやって生き延びて、今。
全てを捨てても残ったものが、私を助けてくれた。
私は私だ。


夜、お布団に入って見る夢。
目覚める直前のざわめき。
まぶた越しの朝日はキラキラしている。
さぁ、目を開けよう。
今日がどんな一日だろうと、夢と現実をプカプカ行き来してるだけなんだから。