Lyric

夜の端っこで　眠れないビル風が頬をかすめる

乾きかけの足跡　まだ昨日の匂いを連れて

信号待ちのノイズ　胸の奥で小さく跳ねた

誰のものでもない鼓動を　イヤフォンの中で数えた

すり減った靴底を　空想で上塗りして

ほどけそうな夢の端を　きみの呼吸で結ぶ

それでも僕らは　ばらばらの空を見上げ

違う青を抱えたまま　同じ雲の影を追う

触れられない痛みほど　色が似ているから

名前のないまま　心に灯を入れた

夕立あとに浮かぶ　アスファルトの微かな虹

コンビニの白い灯り　滲んで甘く揺れる

ポケットの裏で溶けた言葉　指先で転がし

行き場のない想いを　ネオンの裏側に隠した

曖昧な境界線　汗がそっとすり抜け

重なりかけた影の中　まだ知らない景色が瞬く

それでも僕らは　壊れそうな声のまま

「大丈夫」を呪文みたいに　胸の奥へ染み込ませる

違うルートで辿る夜明け　遠回りでも良い

ずれた世界を今　少しだけ重ねよう

星が溶けてゆく頃　終電の影が伸び

止まらない心拍　未来を急かす

ひとりじゃ抱えきれない夜を　指先で分け合えたなら

それでも僕らは　同じ雨あがりの匂いで

濡れた記憶を　静かな光に変えていく

形もない心を　きみの呼吸で染め直し

朝焼けへ投げた　合図のない合図