爛漫とのジャケット写真

歌詞

爛漫と

中条 タキ

死角に喰らったクラクション

既視感の挨拶

鼓膜を突い裂く都会の言動

未だ他人の目を負った幻像

網膜侵した散房花序

六畳の絵画

肺を焦がす憂鬱と焦燥

醜さだけが見たいだろう

──なあ、おまえのもっと奥の奥を出して

脳の吐いた毒も飲み干してくれ

排気ガスも駆り尽くしてしまうくらいに

なあ、あの樹のもっと奥の奥の方へ

行きつく先は善も悪もないぜ

灰になってしまえよ全部

風よ吹け、消し去ってしまえ

こんな薄っぺらい物に触れて

痛む指先に何を思うか

視界の片隅にあって

俺を釘付けにしてくるんだ

──おまえに何がわかるっていうんだ

いやいや、何もわかりはしないが

盲目に生を罹患する

下手くそに惑うアクター

宿酔なんて馬鹿馬鹿しい

あゝ、今宵の記憶も芥

日陰に落ちた羽虫の残像

噎せ返る深夜

探した愛情、群れるは街灯

泡散らした産声を上げよう

静脈根ざした価値も

伽藍堂の対価

スルートラス越しに立った月光

手招く先の呪いのよう

──なあ、おまえのもっと奥の奥を出して

気付いたときには全部度を越したグレー

思い過ごしさ、美しい光景じゃないか

なあ、あの樹のもっと奥の奥の方へ

おかしくなって才も能も貸して

虚しさだけ抱えて

飛び込んで踊れフライバイ

朽ち果てな、光彩放って

何千何万の恋を知った

哀れなる哉、イカルスたちよ

踏み出す方は暗いあの海

身体を這い回る蛆のように

──何を苦しそうな顔してんだ

不愉快がることは何もないぜ

胸を衝くそれは酷い顔

訝しげに眺める酩酊

夢現、声は消えぬまま

残忍なよろこびを食って

──なあ、おまえのもっと奥の奥を出して

あの樹のもっと奥の奥の方へ

形も思いも声も列をなして

おまえの幸も不幸も全部

この不安、完成を以て

俺たちの渇きを満たした

いつかこの身を溶かした先の

一つ一つ水晶になって

春を纏う天井の奥に

見透かした残酷な神秘

──これは信じていいことなんだ

これは信じていいことなんだ

今なら俺にもわかるだろうか

花見客たちの答え

宿酔さえも心地が良い

爛漫と咲く明日を謳え

  • 作詞

    中条 タキ

  • 作曲

    中条 タキ

爛漫とのジャケット写真

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