歌詞

ずっと他人に自慢できるものなんて

持ってなかった

習い事のピアノさえ

長続きせず辞めちゃったっけ

高校じゃ消去法で写真部に

入部したけど

3年経っても

”特技”とは呼べなかった

何を撮るわけでもなく

グラウンドに向けたカメラに

茶化したような笑顔で

またアイツが顔覗かせる

「うちの野球部予選通過しただろ？

それで学校新聞で俺の特集

してくれるそうなんだ。」

「特集…？すごいな。」

「だからそれ用の写真が必要でさ。

一枚撮ってくれない？」

「写真…わかった。」

君の輝きを君は知らない

だけど君の輝きは俺が知ってるよ

狙ったボールをもっと遠くへ運ぶ

追い風のように

君の力を信じてる

9回表 ミットの音が響き

夏が終わった

敵の歓声をよそに

俺は不思議と冷静だった

こんな日がいつか来ること知ってた

そんな気もする

でも野球してる時だけは忘れられた

いつもあの部屋の窓で

退屈そうなアイツも

こんな気持ちだったのか

そう思うと気が楽になる

「なあ、夢ってなんかある？」

「夢かぁ。今はないな、

そのうち見つけるさ。」

「そっか。

俺、甲子園は負けちゃったけど、

大学では絶対活躍する。

その時は観に来てよ、

カメラ持ってさ。」

君の輝きを君は知らない

だけど君の輝きは僕が知ってるよ

絞ったレンズの先に青く広がる

夏の空のように

僕には眩しすぎるほど

君の輝きを君は知らない

だけど君の輝きは

俺が僕が知ってるよ

もう卒業だね 離れ離れになって

いつか立ち止まる時が来たって

大丈夫

「そうそう、これ。

この間のお礼。ほらよ。」

「僕の写真…？

なんだよ、いつ撮ったんだよ。」

「ははは、ひみつ。」

「にしてもひどい写真だな。

ピントも合ってないし、

もっとシャッタースピード…」

「うるせえな。俺はお前みたいに

上手く撮れねえんだよ。」