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類を見ないオリジナル楽曲と圧倒的なライヴ・パフォーマンスで、現在も進化を続ける異能のシンガーソングライター、高橋徹也。彼がメジャー・レーベル在籍時に残した二枚の名作『夜に生きるもの』『ベッドタウン』には、なんと誰も知らない続きがあった!!
時は1999年。茂木欣一(東京スカパラダイス・オーケストラ、フィッシュマンズ)、菊地成孔、上田禎、上田ケンジ、鹿島達也、ASA-CHANGなど、名立たるミュージシャンを迎えて行われた知られざるセッションの記録。約15年という歳月を経て、幻の未発表4thアルバム『REST OF THE WORLD』が遂に全貌を現す。
◎本人コメント
「REST OF THE WORLD」…このフレーズを最初に意識したのは、90年代当時、イタリア・プロ・サッカー・リーグSERIE Aで活躍した中田英寿選手が参加したエキシビション・マッチを観た時だろうか。それは確かチャリティーを目的とした試合で、ヨーロッパ国籍の選手だけで編成された「世界選抜チーム」と、ヨーロッパ以外の国々から選抜された「その他の世界チーム」という、ひどく差別的で一方的な価値観によるネーミングの2チームによる対戦だったと記憶している。つまりヨーロッパこそ世界。あとはそれ以外、という考え方に基づく概念。ただ当時も今も、それについてどうこう言うつもりはなく、単純に言葉の響きとして面白いなと思ったのが、この「REST OF THE WORLD」というフレーズだった。
ここに収められた音源は、覚えている限り1999年に行われたレコーディング・セッションで、事実上、通算4枚目のフル・アルバムとして世に出るはずだった、いわゆるお蔵入り作品である。ヴォーカル曲、インスト曲とバラエティに富んだ内容で、全曲分のトラックダウンを終え、いよいよマスタリングを残すのみ、というところでリリースが頓挫してしまった。個人的には当時所属していたレコード会社との契約解除に伴ういわく付きの作品でもあるので、正直この話題を避けてきたように思う。実際にこの音源のマスターが何処にあって誰が保管しているのかなど、当の自分ですらよくわからないまま長い年月が経過していった。
今回こうして正式にリリースの話が持ち上がり、改めて約15年振りに音源の全貌を耳にしてみると、意外なほどそれを素直に楽しめた自分がいた。「今だったらこうするのに」「これは余計だろう」という、音やアレンジに関する好みの変化は少なからず感じる。そして近年、コンスタントに作品のリリース、ライブも継続しているというささやかな自負もある。そんな充実した今、わざわざ過去の遺産をネタに商売する(笑)というのもいかがなものかと思わなかった訳でもない。ただ、それ以上にこの作品の持つ普遍性や純粋さ、そして何より愛すべき曲の数々が、自分の心を前向きに強く導いてくれた。そのことに改めて感謝したいと思う。ワインや漬け物ではないけれど、時として音楽にも必要な熟成期間というものがあるのかもしれない。
これは当時27才だった自分が、全身全霊をかけて築き上げようとした誇大な妄想とユートピアの幻想。約15年間の長きに渡り、主の帰還を待ち続けた「REST OF THE WORLD」の物語が静かに幕を開ける。今、スピーカーの向こうからから聴こえてくるその音楽に、僕はただ耳を傾けている。
ようこそ、その他の世界へ。
高橋徹也
音楽家。シンガー・ソングライター。 1996年 Ki/oon Records より「My Favourite Girl」でメジャー・デビュー。同レーベル在籍時にアルバム3枚、シングル7枚をリリース。中でも独自の世界観を確立した2nd『夜に生きるもの』3rd『ベッドタウン』は、リスナーのみならず、ミュージシャンや音楽関係者からも幅広く支持を得た。 近年も精力的にライブを行いながらコンスタントにアルバムをリリース。『夕暮れ 坂道 島国 惑星地球(2011)』『The Royal Ten Dollar Gold Piece Inn and Emporium(2012)』『大統領夫人と棺(2013)』『REST OF THE WORLD(2014)』を連続リリース。そして2017年秋、記憶に新しい前作『The Endless Summer(2015)』に続く、記念すべき10枚目のニュー・アルバム『Style』を発表。 Official Twitter @takatetsu_info ライブ出演のオファーはこちらまで takatetsu.info@gmail.com
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