Lyric

降り積もる 雪は死の匂いだけ

とどめて いつの日にか溶けゆく

面影たぐり寄せるように寄りそい

欺瞞（ぎまん）と知りながら「そこ」にいた

寒い、とかじかむ 両手さえ暖められないならば

臆病に触れ臆病に抱き締め 傷跡をそっと書き換えたい

傲慢な願い 赦されなくていい

泣き叫んでいい 叩き付けていい たとえこの手が赤くとも

拭うよ 何度でも その頬 望まれ望む限り

優しい世界であるように祈って

凛とした瞳 揺るがぬ声で

「忘れている方がきっと悲しい」

握り締めては 血を滲ませる欠片

それでも 今ここにいる理由

弱さも痛みも 全て包む眩しさが今、痛い

忘れられない 忘れる筈がない きみの涙もぬくもりも

あやまちは白を鮮紅(せんこう)へと染めた

「そこ」に在るのは全てが虚像で 感情の臓器は醜くて

けれども 狂おしく清冽な ぬくもり身を委ねた

終わりと始まりの夢が解けて そしてやっと気がついた

僕はきみを救いたかったわけじゃない

僕はきみに救われたかったんだ ずっと

臆病に触れ臆病に抱き締め 傷跡はそっと書き換えられ

傲慢な願い ただひとりに赦され

泣き叫んだとして 叩き付けたとして 表情を変えない世界でも

それがきっと罰で 救いでもあるから

喪ったもの 零れ落ちたもの 護りたくて 出来なかったもの

褪せぬように 胸の裡(うち) 刻んで生きるよ きみの隣で

優しい世界であるように……

優しい祝福が降るように……

優しい世界であるように――――祈って