
※ 試聴は反映までに時間がかかる場合があります。
※ 著作権管理事業者等が管理する楽曲は試聴できません。
DECODE.01 - Recomposed Beethoven Moonlight Sonata は、
ベートーヴェン《ピアノソナタ第14番「月光」》全3楽章を、
異なる神経状態として再構成した作品である。
本作は、原曲の感情表現や物語性を再現することを目的としない。
各楽章に内在する時間設計、反復構造、倍音の振る舞いを抽出し、
現代の過剰刺激環境に適応させるための "再作曲(Re-composition)" である。
第1楽章では、倍音と都市的パルスが重なり、
音は風景ではなく、孤立した身体として立ち現れる。
第2楽章では、時間が引き延ばされ、
静止に近い知覚と残響の持続が聴覚を支配する。
そして第3楽章では、反復と加速が臨界点へ達し、
音楽は刺激装置として機能し始める。
《月光ソナタ》はここで、
過去の作品ではなく、
現在進行形の知覚体験へと変換される。
Masato Ishibashi は、東京を拠点に活動する現代音楽作曲家/サウンドアーティスト/Disklavier Player。 ライブコーディングやAI、MIDI接続されたアコースティック・ピアノ(Disklavier)を用い、人間の構想力や身体的限界を越える演奏・作曲を通して、従来のピアノ音響や時間感覚を再設計する実践を行っている。 制作の中核にあるのは感情の表出ではなく、音による構造設計である。反復、時間構造、知覚変容を軸に音楽をひとつのシステムとして構築し、テクノロジーは効果的な演出ではなく、音楽の振る舞いそのものを規定する基盤として機能する。 そのアプローチは、音響構造を通じて知覚や報酬回路に介入し、神経系の状態に作用する Neural Hacking と位置づけられる。ここで音楽は、感情を伝達する表現ではなく、知覚の条件へ侵入し、変異と再編を引き起こす媒介物として扱われる。 進行中のプロジェクト DECODE. では、クラシック音楽の名作を固定された歴史的作品としてではなく、内部ロジックを抽出・再構成可能な構造体として捉え直し、現代の知覚環境へと再配置する。 また、コンテンポラリーバレエやインスタレーション作品の音楽制作にも携わり、音楽を音響表現にとどめず、身体・空間・知覚のあいだを横断的に伝播する媒介として探究している。