カタカムナ

カタカムナは
『形無い世界』の"ない"ものと
『形在る世界』の"ある"ものを
繋ぎ"綯(な)う"魔法の『ことたま』

私が『言霊(ことたま)』と言う言葉を知ったのは4歳の時。大好きだった曾祖母が教えてくれたこの言葉の意味は今も私の詩の中に大いに息吹き、私の生き様の全てに影響している。

『言葉にはふたつあるんだよ。ただ頭に浮かんだままを吐く言葉はその人の足元にただ落ちて腐りゆく言の葉。でも思いと心を重ね吐く言葉はその人の腑に落ちてその命と育み合いながら言霊と言う種になるんだよ。』首をかしげる小さな私に紐解かれたここからの話は正に"種=言霊"であり、その種のひとつが"カタカムナ"である事を知るのはまだ先のこと。ただこの日から私は『ウタヒ』と言われる魔法の歌を覚える事となる。

歌という字は
『大きな"欠しき事(欠落や不足ごと)”と小さな"可しき事(可能性)が 重なり支え合う事で吉と転ずると書くんだよ。』 だから日本人はどんな事も歌と共に乗り越え生きてきたんだよ。

そう言って曾祖母が教えてくれた最初の『ウタヒ』は《ヒフミヨイムナヤコトモチロラネ》だった。

『陽と水は陰陽。それが風で結ばれ、世が産まれる。形ありて見えるものと形なくて見えないもののどちらが欠けても現れぬ"世"はひとつに巴て見えるが、求める心を持つものにはそれぞれを行き来できる門が開き、千代に八千代にと継がれた世の始まりの種が見えるように、得られるように、植えられるようになる。』と言う事がこの少ない文字の中に隠れている事実を知った時に心ときめいた事は今も忘れない。(その理由が『テクマクマヤコン』など魔法使いの呪文とリンクしたからである事は今日まで秘めていた事だが。)

ここから丸10年。私はこの『ウタヒ』の世界に魅了され、"禮音(のりと)"と言うカミゴトの歌の世界へどっぷり足を踏み入れる事になる。しかし神様の計らいは面白いもので、これだけの知識を習得した途端、私は渡米する事になる。最後に九州で別れた曾祖母は『私もあなたと共にゆく』と一言放ち、言葉の通り私の渡米と共に"形の無い世界"の住人となった。正に巫女の『巫』の字のように私と向き合って天と地を繋ぐ柱を支えるように。

そこから更に33年経った、令和三年二月六日。

世界を旅し、たくさんの価値観・文化・儀式に触れ、人としての紆余曲折を経た私が、終の住処に選んだ信州八坂のスタジオで『カタカムナ』をレコーディングする事になる。そのきっかけはふたりの友人から届いた一通の手紙。『カタカムナをAYERのふたりで作品化して欲しい』と言う依頼だ。これまでも禮音をモチーフに数多くの奉納演奏をして来た私たちにとって、とてもダイレクトで面白味のある企画であると共に一番の夢でもある世界の舞台に上げたい事のひとつに『カタカムナ』があったので手紙を読むや否やスタジオに入った。その模様はご依頼主のおふたりのご好意により『伝承文化の再生』として17Liveで公開レコーディングされた。『カタカムナ』の意味を知る私と全く何かを知らない夫は、正に『カム(神の領域)』と『カタ(人の領域)』。そこを『綯(な)う=繋ぐ』入口を表す『鳥居』こそが姓であるふたりから産まれた『カタカムナ』は日本語の域を飛び出し、英語・スペイン語・ヘブライ語・ラテン語・キチュアまで国境というGATE(鳥居)の向こうへと広がり、間違いなくリスナーの心へと種を落とした。

配信を通して伝わった『カタカムナ』のメッセージは、大きな反響を呼んだ。さあ、次は何が起こるのか？と想像していた折に、ご依頼主であったおふたりからこんな提案を頂いた。｢カタカムナの録音をCD化しないか？ふまちゃんの音楽がたくさんの人に届くように応援したい！999枚をご縁のある方々に届けよう！｣と。

そして産まれたのが
今あなたの手の中にあるこの作品
『カタカムナ』

時空を超えて日本を地球を愛した人々から届いたラブレター『カタカムナ』は、そんなおふたりの大きな愛を得て令和の世に生まれい出て、愛の連鎖によりあなたの元までやってきた。

今日この場所で、音を通じ繋がり、抱きしめ合い、今を愛し合う為のメッセージこそが『カタカムナ』。

形あるものの喜びを確認する為に、今の地球で生きる事を選んだ『愛(I)&愛(I)』にありったけの｢ありがとう｣と感謝を込めて。

この音がたくさんの人に届きますように。

敬具

MC Mystie