どうか生きてくださいって 軽く言うじゃないか
どうせその続きにあるものは 何も知らんぷりで
なんて呟いたところで 歌の流行りも廃り
愚痴をぶつけるはずの相手も いなくなっているんだ
都心から二度乗り換えて 少し歩いた先の
高架下のアパート 切れた街灯のそば
僕の他には誰一人 いないかのような街で
まして闇の中では 人の影も見えない
低い天井 見上げるたびに募る
耐え難い倦怠感のそのわけが
寝不足か生きる意味不足か
見分けがつかなくなれば 終わりなんだ
もう少しだけ生きてみてと
祈りのように響く声が
誰の言葉か忘れそうな夜更けに
いつまで生きればいいのって
どこにも答えはないままで
何とか言ってくれよ ずっと一人きり 廃墟暮らし
処刑台の刃みたい 満員電車のドア
ひと思いに閉じ切らないから なおさらたちが悪い
なんて呟いて気づいた 生と死の境目は
急行が通り過ぎる前の 線路の上にあると
遠い戦争 見慣れるたびに募る
絶え間ない厭世観の下敷きに
ただここで生きていたいんだと
願う彼らがいるのは わかっているのに
もし辛いなら逃げていいと
救いのように謳う声が
どこへ行けるか教えようとはせずに
話は終わってないよって 呼び止めるため追いかけても
勝手にいなくなって まだ続いていく 廃墟暮らし
とうの昔に朽ち果てた 機能不全の幸福が
吹き溜まるのにふさわしい この街の終着点で
いつか聞いたはずの慰めの 続きを問い直してみても
誰の返事もなく 希望の残骸に反響した
世界がすべて廃墟みたい
見渡す限り同じ景色
どこへ逃げても何も変わらないなら
今すぐ終わりにしなよって 自分で自分に嘯いて
だったらいなくなってやる
もう少しだけ生きてみてと
呪いのように響く声が
誰の言葉か忘れてしまった夜明けに
いつまで生きればいいのって 本当は全部知ってるだろ
何とか言ってくれよ ずっと一人きり 廃墟暮らし
- 作詞
宏川 露之
- 作曲
ein himinn
ユキニフル の“廃墟暮らし”を
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
世界構築のプロトコル
ユキニフル
- 2
スピーカーノート
ユキニフル
- ⚫︎
廃墟暮らし
ユキニフル
- 4
みらい
ユキニフル
- 5
一夜分の命に
ユキニフル
- 6
告白
ユキニフル
「─君がくれた言葉が 僕の中で生きて ようやく返す番だ」
少年少女はなぜ傷つくのか。なぜ泣いてしまうのか。なぜ生きていられなくなるのか。
その理由の、さらにその根源を、ある少年少女の姿から描いた、ユキニフル5th Novel Album後編。
物語は前編の10年後から始まる。施設での惨劇から生き延びてしまったソウヤは、虚しく無価値な日常を過ごしていた。そんなある日、 <スマイル・オン・フリーデッド>を名乗る団体が現れ、世界に向けてある宣言を発信する。その団体の代表と名乗る女性の姿には見覚えがあり──。
物語と連動する楽曲には、世界が形を変えていく瞬間を切り取った叙事詩『世界構築のプロトコル』、無責任な<生の肯定>に対するアンチテーゼを謳う『廃墟暮らし』、変わりきった未来で一人さまよう少女の運命を辿る『みらい』、物語の終わりに、少年が少女に想いを告げる『告白』など、全6曲を収録。
「どうか生きて」と告げられた、その先を描いた一作。
アーティスト情報
ユキニフル
物語と音楽をコンセプトにしたユニット。 冷たさや儚さで覆われた世界を「雪」に例え、そこに降り積もる"何か"をモチーフに名付けられたこのユニットは、故郷と居場所、後悔と喪失、それでも生き続けるということをテーマに独自の世界観を表現する。 小説とCDが同封される作品は、痛々しくも確かな手触りをもって描かれることで、フィクションであると同時に現実とも通底する圧倒的な詩世界を浮かび上がらせる。
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