旅に出るよ
明日には発つよ
もう帰らないつもり、なんて
大きい鞄と履き慣れて汚れた靴で
誰もわたしを知らない、
遠いところまで行けたらいいのに
逆さの街の深い底に銀の月
ゆらゆら泳ぐ魚のいない代わりに揺れる
水曜日の午後、何も決めずに
知らない道 知らない角 曲がった
追い抜かれて遠くなる
ビルも地面も橋の白さも
わたしたちはきっとどんな二人にもなってゆけるね
冷たくない風が吹く
川が海にひらくとこの橋
はためく旗とコートの裾とあの木の枝
大きい風に同時にゆらゆら、ごうごう、ざわざわ
春一番の風の日に、隣町の次の町の先へ
あなたに会いに乗るバス
窓の外は夜
わたしたちはきっとどんな二人にもなってゆけるね
冷たくない「なんて言ったの、何」
「え」「聞こえない、風がさあ、強くて」
君の声が、風が、風が
風が吹く
わたしたちはきっとどんな一人ずつにもなれるよ
向かい風の長さにまかれる
千切った花びらはかじると苦いんだね
航空障害灯がまばたきをしてる
透明になって山が寝ている
冷たくない風が吹く
川が海にひらくとこの橋に吹く風、南の風
- 作詞
田上碧
- 作曲
田上碧
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ストリーミング / ダウンロード
- 1
においだけの海
田上碧
- 2
モーニング・アップデーツ
田上碧
- 3
モーターリバー
田上碧
- ⚫︎
湾岸行々
田上碧
- 5
the breath
田上碧
- 6
午後の終わり
田上碧
- 7
テラス席
田上碧
- 8
水面のある街
田上碧
- 9
240819新規録音304より
田上碧
- 10
土に似ていく
田上碧