

高層ビルの喧騒の
渦に搔き消される足音
眠らない街の象徴の
溝でうずくまるドブ猫
見慣れない通勤ラッシュ
耳障りな駅のアナウンス
途方もなく歩き続けて溜め息と
不確かな鳴き声と共に
煌びやかなライトアップ
そこに鼠色の異端者
多様性な人間共
それをただじっと見ているだけ
近代的な文明
取り残された哀れな感情
いつまでも胸の端っこに取り憑き
明日もまた堂々巡り
言葉にできなくて
自分が何者かさえも知らなくて
泣いたり笑ったり
ふと感じたり
命がある意味が欲しかった
耐え抜いて耐え抜いた
その先に何があると言うのだろう
理由もなく生まれて
ただ息をして
本当にこの世界は理不尽だな
賑やかな公園の隅で
行き場所を失くした逸れ者
一瞬だけでもいいから
遊具みたいに触れて欲しくて
先進的な人文
人間はどこまでも進化する?
何が違うのかさえも分からずに
残酷だ
言葉にならなくて
なぜ今ここに立ち尽くしているのか
走ったり歩いたり
立ち止まったり
残ったのはこの命だけだ
何となく
くじで選ばれたから生きているんだ
はずれとか当たりとか
どうでもよくて
私は本当に…?
争い合って殺し合いながら
この世界に認めてもらうために
唯一のかけがえのない君を犠牲に選んだ
どうしてそんな不器用なんだ
それはきっと君が優しすぎるから
それと同時に傷つく事を恐れているから
高価なコーヒーカップ
値段なんて想像もできない
「誰だ?それに触らないでくれ
お前と違って特別なんだから」
必要とされる物には
それ相応の価値が付けられる
じゃあ命のある私にはもちろん価値がある?
心が折れたんだ
どうしようもないくらいに崩れ落ちて
叫んだり喚いたり
死のうとしたり
自分の首さえも掴めずに
空いたんだ
とてつもないくらいの穴が空いた
見えもしないくせに
勘違いでしょ?
たまらなく怖くて震えたんだ
お願いだ
誰かに私の声よ届いてくれ
脆くて儚くて
消え入りそうに
『この世界で生きていたいから』
名前なんて
生まれる前から与えられているんだ
好きだとか嫌いとか
どうでもよくて
私は本当に…?
- 作詞者
kiru
- 作曲者
kiru
- プロデューサー
kiru
- ボーカル
鏡音リン

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野良猫と自己犠牲な乞食 (feat. 鏡音リン)
kiru
都会の喧騒に取り残された弱い存在を通して、人間の孤独と生きる意味を問いかける楽曲です。
高層ビルの影で震える野良猫、価値で選別される世界、名前だけが先に与えられた人間の矛盾──
進化し続ける文明の中で見捨てられていく感情と、命そのものの価値を描いています。
走っても歩いても立ち止まっても消えない「生きる理由のなさ」。
それでも誰かに触れられたい、声を届けたいと願う弱く脆い心。
社会の片隅に埋もれながら、それでも生きようとする痛みを青く冷たい景色の中に閉じ込めた一曲です。


